HSV 兼松ウェルネス、北里大学、免疫ミルク「スターリミルク」の継続飲用が単純ヘルペスの予防に効果 兼松ウェルネス(東京・中央、伊藤道代社長)は、免疫賦活作用をもつ免疫ミルク「スターリミルク」が単純ヘルペス(HSVの再発予防に有用であることを、北里大学医学部皮膚科の増澤幹男診療教授のもとで実施したヒト飲用試験で見いだした。1年間の飲用により、HSV抗原特異的なCTLが誘起されている可能性を見いだし、症状の改善を認めた。京都市で開かれる第105回日本皮膚科学会で200663日に発表する。Copyright(c) Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved
ヘルペスウイルスはマイクロRNAを用いて潜伏感染を維持している Anti-apoptotic function of a microRNA encoded by the HSV-1 latency-associated transcript.Nature 442, 82-85 (6 July 2006)ヘルペスウイルス1型(HSV-1)は、ある種のストレスによって活性化されるまで末梢神経システムに潜伏感染しています。この潜伏感染期には、感染した神経においてHSV-1遺伝子の1つ・潜時関連転写(LAT、latency-associated transcript)遺伝子だけが発現しています。LATは、細胞死を阻害して感染神経の生存を亢進することで潜伏感染を維持しています。これまで、LAT遺伝子のタンパク質産物は同定されておらず、LAT遺伝子生成物によるアポトーシス抑制メカニズムも分かっていませんでした。このたび、この文献に報告された研究成果から、LAT遺伝子がコードしているマイクロRNA(miRNA)は感染細胞のTGF-βシグナリングをダウンレギュレーションすることでアポトーシスを阻害し、感覚神経でのHSVの潜伏感染の維持に貢献していると分かりました。
ヘルペスウイルスはファゴサイトーシス(貪食)の特徴を多く有するエンドサイトーシスで細胞に感染する 2006-09-30 ヘルペス・ウイルスはエンドサイトーシス経路を利用して細胞に感染すると分かってきました。しかしこのプロセスにおけるいくつかの重要な特徴は分かっていません。20069月のJ Cell Biol誌に発表された研究成果から、ビリオン(ウイルス粒子)のエンドサイトーシスは、免疫細胞が微生物を飲み込むときに使用するファゴサイトーシスに似ていると分かりました。細胞に侵入するときのファゴサイトーシス様プロセスではRhoA GTPaseが活性化されており、細胞への進入様式は細胞タイプ選択的でした。実験の結果から、ファゴソーム膜とビリオン外套の結合・融合は、感染細胞に認められるnectin-1HVEM)のクラスタリングによって促進されると考えられました。この結果から、今回分かった新しい取り込み方式により、プロまたはプロではない食細胞の両方にヘルペスウイルスは感染しうると示唆されました。
CMV 3つのウイルス感染に対抗する遺伝子操作Tリンパ球の安全性が第1相試験で確認された 2006-11-05 免疫不全患者では、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン・パーウイルス(EBV)、アデノウイルス(AVによる致死的な感染症リスクが高くなっています。抗原提示細胞の遺伝子操作によってこの3ウイルスに特異的な細胞傷害性Tリンパ球(3ウイルス選択的CTL)を作り出し、その作用や安全性を検討した第1相臨床試験の結果が200611月のNature Medicine誌に発表されています。3ウイルス選択的CTLを免疫不全状態の骨髄移植患者に注入したところ、複数のウイルス特異的細胞集団へと拡大し、これらの細胞集団は臨床的に明らかな抗ウイルス活性を有していました。この臨床試験に参加した骨髄移植患者11例は2-4週間で完全に回復し、副作用や毒性は認められませんでした。
免疫が弱った状態では、NK細胞を交わすためにサイトロメガロウイルスは遺伝子を変異させる 2004-06-19 03:45:35 免疫が弱くなったマウスは、通常なら駆除できるサイトロメガロウイルス(MCMV)の増殖を許してしまい、数週間で死んでしまいます。 20046月のImmunity誌に発表された研究成果から、免疫が弱った状態においてMCMVはナチュラルキラー(NK)細胞の攻撃を交わせるように自身の遺伝子を変異させているとわかりました。 通常MCMVM157という抗原を細胞表面に提示しており、NK細胞はこれを認識します。今回の研究成果から、免疫が弱ったマウスにおいては、感染から3-4週間後にMCMVM157を細胞表面に提示させないような遺伝子変異を起こしているとわかりました。‥> Reference Escape of mutant double-stranded DNA virus from innate immune control. Immunity. 2004 Jun;20(6):747-56.
サイトロメガロウイルス(CMV)、EB ウイルス(EBV)と乳癌の関連を調べる研究プロジェクトが進行中 2005-08-25 00:00:00 Canterbury Medical Research Foundationが、「サイトロメガロウイルス(CMV)、EB ウイルス(EBVと乳癌の関連を調べる研究プロジェクト」に対して3万ニュージーランドドルの助成金を提供しました。Otago UniversityAnn Richardson教授が率いる研究グループがこのプロジェクトを主導します。 乳癌の発現率が低い国では、比較的若い頃にCMVEBVに感染しています。たとえばニュージーランドや欧米に比べて、日本人は2つのウイルスに若い頃に感染します。研究者等は乳癌発病前の血液サンプルを集め、CMVEBV感染と乳癌の関連を調べる予定です。ノルウェーのJanus Serum Bankから血液サンプルを得る予定です。Janus Serum Bankでは、1970年代から血液サンプルを収集・保管してきました。 
HHV6 〜CFSの病態〜 ストレスにより生じる神経・内分泌・免疫系の変調に基づく   倉恒教授によると,CFS患者では(1)その一部でEBウイルスの早期抗原抗体が検出される(2)22%でHHV- 6 潜伏感染特異的蛋白質に対する抗体が検出された(3)ボルナ病ウイルス(BDV)の抗p24抗体やBDV-RNAが健常者と比較して高率に検出された−などからウイルスの再活性化との関連が示唆されている。CFS患者では(1)血清コルチゾルが減少し,副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)に対する副腎の感受性が亢進,反応性が低下していた(2)デヒドロエピアンドロステロン硫酸抱合体(DHEA-S)が健常者と比べて減少しており,DHEA-Sは思考力や集中力の低下との関連が示唆された(3)アセチルカルニチン(ACR)が減少しており,症状の改善とともにACRが増加す
ランゲルハンス細胞性組織球症患者の多くからHHV-6のたんぱく質が確認された 2004-03-25 17:42:36 ランゲルハンス細胞は血液中を循環し、免疫機能に重要な役割を果たします。このランゲルハンス細胞がなんらかの理由で過剰になると、ランゲルハンス細胞性組織球症(Langerhans cell histiocytosisLHS)という病気になります。LHSは非常に稀な病気(20万人の1)で、多くが10歳以下で発病します。 LHSの発病原因ははっきりわかっていませんが、一つの原因としてヒトヘルペスウイルス(HHV)との関連が示唆されてきました。 20041-2月のJ Pediatr Orthop誌に発表された報告によると、LHSの子供の多くがHHV-6に感染しているという結果となりました。 研究者等はLHSの子供35人とLHS以外の子供19人で比較したところ、LHSの子供35人中25人からHHV-6が検出されました。一方LHS以外の子供でHHV-6に感染していたのは僅かに5人のみでした。
ヒトヘルペスウイルス 6 型の初感染 Primary Human Herpesvirus 6 Infection  小児 277 例から採取した一連の唾液検体を用いたこの研究では,月齢 12 ヵ月までに 40%が,2 歳までに 77%ヒトヘルペスウイルス 6 HHV-6に感染した.初感染のほぼ全例が症候性で,約 40%が発熱,むずかり,下痢などの症状のため受診した. 乳児を対象としたこの前向き研究では,救急治療室の受診に基づいた先行研究とは異なり,HHV-6 感染と痙攣との関連性は示されなかった.バラ疹は初感染の 23%でみられた.New England Journal of Medicine
〜疲労の客観的評価〜 唾液中HHV-6,7の測定で可能 疲労感は主観的な感覚であり,報酬や達成感によって覆い隠されやすい。しかも過労死に至った人の半数以上は疲労を自覚していなかったとされることから,特に,中長期的に蓄積した疲労の客観的な評価法が求められている。東京慈恵会医科大学微生物学講座第一の近藤一博教授は,唾液中のヒトヘルペスウイルス(HHV)-6およびHHV-7量を測定することにより蓄積した疲労を客観的に評価する方法を開発,その詳細を発表した。併せて,この測定方法によって慢性疲労症候群の病的疲労状態と健常人の疲労の共通性・相違点を客観的に評価しうることも報告した。近藤教授によると,HHVは初感染後,増殖を停止して体内に潜伏し,疲労や強いストレスなど宿主が危機的な状態に陥ると,素早く察知し,自力で脱出して他の元気な宿主に移ろうとする。このように自力で再活性化できるウイルスはHHVのみであるという。 現在,8 種類が確認されているHHVのうち,HHV-6およびHHV-7は 2 歳までに100%の人に感染して体内に潜伏し,再活性化したウイルスは唾液中に放出される。そこで,健常人の就労中と 1 週間の休暇直後,慢性疲労症候群患者の唾液中HHV-6およびHHV-7の再活性化を検討した。その結果,健常人でのHHV-6の唾液中陽性率は就労中88%であったが,休暇直後は24%に低下し,就労による疲労に反応して再活性化していた。これはvisual analogue scale(VAS)による自覚的疲労感と一致し,休暇直後にウイルス量が減少しなかった人はVASも高値のままで疲労を感じており,唾液中HHV測定による評価は客観性が高いものと考えられた。一方,慢性疲労症候群患者ではHHV-6の陽性率は37%と,健常人の就労中よりも低かった。HHV-6再活性化のメカニズムを検討すると,ウイルス遺伝子は 1 週間程度疲労物質にさらされ再活性化に向かう“中間状態”を取り,その後,完全に再活性化し唾液中に検出されることが判明した。したがって,HHV-6の再活性化は慢性疲労には関係せず,中期的に蓄積した疲労のバイオマーカーになると考えられた。HHV-7の再活性化については,健常人での陽性率は就労中52%,休暇直後30%であったが,慢性疲労症候群患者の唾液中では陽性率が92%で,放出量も非常に多かった。また,これと同様の現象は,健常人が慢性の疲労状態に陥った場合でも観察された。以上から,同教授は「HHV-6は健常人の中期的な蓄積疲労の評価に,HHV-7は健常人および病的な慢性疲労の評価に有効であることが認められ,慢性疲労症候群という病気の疲労状態と,健康な人の疲労の共通性および相違点を客観的に示す知見が得られた」と述べた。 同教授らは現在,5 年以内の実用化を目指し,簡易キットの開発を進めており,過労死や過労による事故防止が可能になるものと期待されている。 (Medical Tribune)
ヘルペスウイルスは慢性関節リウマチの罹患に寄与すると考えられる ニューヨーク(ロイターヘルス)−ヘルペスウイルスは慢性関節リウマチ(RA)に関連することがスペインの研究者達から報告されている。同研究者達には、ヘルペスウイルスRA発症原因であるか否かについての確信はない。 RA患者に認められた細胞性免疫の障害は、健常被験者に認められるよりも高値のヘルペスウイルスと明瞭なつながりがあると考えられることをマドリードにあるHospital Clinico San Carlos病院のB. Fernandez-Guitierrez博士らがAnnals of the Rheumatic Diseases誌の9月号中に指摘している。 加えて同博士らのチームは、RAにより患者がヘルペスウイルスに感染または同ウイルスが再活性化され得る傾向があると述べている。 同博士のチームの研究では、定量的実時間ポリメラーゼ連鎖反応を用いて、ほぼRA患者60名と健常対照75名から採取した末梢血単核細胞(PBMC)中および血清試料中のさまざまなヘルペスウイルスの値を評価した。 PBMC試料の解析によりEpstein-BarrウイルスDNAが対照に比べRA患者に多く認められ、高値に達する(ともにp<0.05)ことが明らかになった。ヒトヘルペスウイルス6に対しても同様に有意な所見が認められた。 この結果は、RA患者においてヘルペスウイルスDNA値を監視するためにはある値が存在すると考えられることを示唆していると同博士らは述べている。ウイルス量の上昇がRAの悪化に関連するか否かを知ることは有益であると同博士らは付け加えている。 Ann Rheum Dis 2005;64:1357-1359.
なめるだけで疲労測定 慈恵医大教授が開発へ ぺろりとなめるだけで疲れの程度がわかる。そんな簡単な疲労検査が数年で実現しそうだ。残業時間に比例して、体内にすみ着いているウイルスが唾液(だえき)中に増えることを慈恵医大の近藤一博教授(ウイルス学)らが突き止め、22日、大阪市であった日本疲労学会で発表した。ウイルス量が疲労度の目安になるので、なめるだけでだれでも簡単に疲労を測れる方法の開発につながり、過労死を防ぐ有力な手がかりになるという。 このウイルスはヘルペスウイルスの一種のHHV6HHV7という。乳幼児の病気である突発性発疹の原因ウイルス。ほとんどすべての日本人が幼い頃から体内に持っていて、成人なら病気を起こすことはない。 近藤教授らは、残業がない定時の仕事をしている事務職の20人と、1日5時間以上残業している研究職や営業職の40人の唾液で、これらのウイルス量を測った。 その結果、残業のない人では、唾液1ミリリットル中のHHV6が平均500個、HHV7は平均5千個だった。これに対し、残業が多い人では、どちらも10倍以上検出され、残業時間が多い人ほど多かった。当直を繰り返している外科医ら、不規則な生活リズムで厳しい長時間労働をしている人は、1週間休んでもウイルスは減らなかった。 04年の文部科学省研究班の調査で、疲れが半年以上続いている勤労者は約3千万人に上り、うち240万人は疲れのため休・退職に追い込まれている。近藤教授は「リトマス試験紙のような、なめるだけで疲労のたまり具合が分かる簡易キットを2、3年のうちに開発できると思う」と話す。  Asahi.Com
EBV EBVが子宮頸癌に関与   病原性をあらためて確認 〔チェコ共和国プラハ〕 ポズナン大学(ポーランド)のMarzena Wal博士は,Epstein-Barrウイルス(EBV)が子宮頸癌の病原性に重要な役割を持つ可能性があることを第14回欧州臨床微生物学・感染症会議で報告した。 軽度と中等度・重度を比較  EBVのlatent membrane protein-1 (LMP-1)が活動性感染と潜伏感染の両方で上皮細胞の腫瘍への形質転換に関与することは以前に示されていたため,Wal博士らは子宮頸部上皮内腫瘍へのEBVの関与の有無を調べる目的で女性19例(21〜42歳)の子宮頸部上皮内腫瘍検体を調査した。 19例のうち,異形成が軽度であった10例をサブグループ 1 とし,中等度か重度の異形成を示した 9 例をサブグループ 2 とした。さらに,子宮頸部上皮内腫瘍を認めない女性26例(21〜43歳)の子宮頸部検体についても調査を行った。 それぞれの検体についてEBVとヒトパピローマウイルス(HPV)のDNAの有無を,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)と固相酵素結合免疫測定法(ELISA)を用いて調べ,各患者から採取した血清についてEBV抗体の有無を調べた。初期抗原に対する免疫グロブリン(Ig)G,ウイルスカプシド抗原に対するIgMとIgG,Epstein- Barr核抗原に対するIgGをELISAで測定した。 調査の結果,サブグループ 1 では全例がHPV陰性,2 例がEBV陽性であった。サブグループ 2 では全例がEBV陽性で,7 例がHPV-16陽性,HPV陰性は 2 例であった。EBV抗体陽性例は両グループに認められた。一方,対照群では16例がEBV,HPVともに陰性で,EBV陽性が 8 例,HPV陽性が 2 例だった。 同博士は,今回の研究はEBVが子宮頸癌の病因に関与していることを示す証拠だと結論し,今後さらに研究を進めるとしている。        (Copyright 2004 DoctorsGuide.com)
EBウイルス感染の有無と遺伝子のメチル化状態で胃がんの病理的特徴を分類できる EBウイルス感染のある胃がんでは、広範囲な遺伝子に異常メチル化が見られ、臨床病理的にも非感染胃がんと異なる特徴のあることがわかった。このことから、EBウイルス感染の有無と、マーカー遺伝子のメチル化の状態で、胃がんの病理的特徴が分類できるという。東京大学大学院医学系研究科人体病理学の張文誠氏が、「高および低メチル化形質胃癌の臨床病理学的特徴」と題したポスターセッションで発表した。張氏らの研究グループでは、外科的な手術をした胃がん106症例(2581歳、平均62.6歳)を対象に、凍結組織からDNAを抽出し、メチル化解析法のひとつであるMSP (Methylation specific PCR)法でメチル化の状態を分析した。その際、MS-RDA法から同定された5つの遺伝子(LOXHRASLSFLNeHANDlTM)をマーカーとして用い、それら遺伝子上の異常メチル化の出現頻度によって、各サンプルを高メチル化群、中メチル化群、低メチル化群の3つの群に分けた。さらにp16など10個の遺伝子についてもメチル化の状態を調べた。その結果、(1)EBウイルス感染のある胃がんでは、ほぼ全例が高メチル化群に属し、10遺伝子のうち、hMLH1MGMTを除いた8遺伝子で異常メチル化がみられた。またこれらの胃がんは胃上部で発生しており、リンパ管の侵襲が多いこともわかった。このことから研究グループは、「EBウイルス関連胃がんでは、グローバルなメチル化をきたしており、さらに際立った臨床病理学的特徴をもつ」とまとめた。これに対し、(2)EBウイルス非感染でも高メチル化形質の胃がんでは、hMLH1p16での異常メチル化頻度が高いという特徴が見られた。一方、(3)低メチル化胃がんでは、脈管の侵襲とリンパ節転移の頻度が有意に高く、「生物的な悪性度が高く、むしろ遺伝子上の変化が優位に生じている」という。張氏らは、「EBウイルス感染に加え、5つのマーカー遺伝子のメチル化状態を検索することで、臨床病理学的に特徴のある胃がんの分類が可能」と結論づけた。(八倉巻尚子、医療ライター)
溶解型感染細胞は、血管新生を促進することでEBVに関連した悪性腫瘍の増殖に寄与している 2005-11-22 00:00:00 Epstein-Barrウイルス(EBVに関連した悪性腫瘍の大部分は潜伏型のEBV感染細胞で構成されています。しかしながら、溶解型のEBV感染を含む細胞も僅かに存在します。この稀な溶解感染型の腫瘍細胞が、潜伏感染型の腫瘍細胞の増殖に寄与しているかどうかは不明でした。 感染細胞を破裂させて新しい細胞を放出するのに寄与する遺伝子を欠いたEpstein-Barrウイルスの実験の結果「溶解型感染細胞は、血管新生を促進することでEBVに関連した悪性腫瘍の増殖に寄与している」と分かりました。 さらに、VEGFは血管新生促進以外に多面的な役割を有しており、ウイルスの病理に関連していると考えられました。 
エプスタイン・バー・ウイルスの再活性化により妊娠期間が短縮する可能性がある ニューヨーク(ロイター)妊娠中のエプスタイン・バー・ウイルスの再活性化は、妊娠期間短縮と死産に関連する可能性のあることがBJOG誌(International Journal of Obstetrics and Gynaecology)の12月中の記事に報じられている。 妊娠初期のエプスタイン・バー・ウイルス(EBVの再活性化は、妊娠期間短縮および低体重児に関連した。有意ではないが、この関連は死産児において最も著明であった」と、Norwegian Institute of Public Health(オスロ)のAnne Eskild博士がロイターヘルスに語った。 Eskild博士らは、ノルウェーのMedical Birth Registry(医療出生登録)を用いて妊娠中のEBV 抗体の状態に基づき、胎児の死亡リスクおよびその他の転帰のリスクを調査した。妊娠例35,940例中には胎児の死亡例280例と無作為に選択した生産児940名とが存在した。 初回のEBV 感染または血清変換が妊娠女性の1.5%に認められ、それらの女性の25%には妊娠第一期目にEBV 再活性化の血清学的徴候が認められた。 EBV 抗体の状態は、胎児の死亡とは有意に関連しなかったと報告書に示唆されてはいるが、EBV が有意に再活性化した女性では再活性化しなかった女性に比べ、妊娠期間は有意に短期間であった。 有意なEBV 再活性化率は、早産および死産(13%)を来たした女性の方が21週以降に出産した女性(4.6%)に比べて高かったと同博士らは述べている。EBV 再活性化は、平均出生体重の低さ、平均身長の低さおよび頭囲が小さいことにも関連があった。 「われわれの所見は他者による検証が必要である。われわれは、自らの所見である母体のEBV 再活性化と妊娠期間との間の関連が母体の疾患により交絡しているか否かを依然として理解していないのである」とEskild博士は語った。 「妊娠期間中の母体のEBV 感染の影響についての知見は、臨床上の提案および臨床指針を作成するためには不足している」とEskild博士は付け加えた。   BJOG 2005;112:1620-1624. 
リウマチの原因は? 原因不明です。かつて結核も原因の1つと考えられていました。現在では、EBウィルスパルボウィルスB19、マイコプラズマなどの外的要因や、女性ホルモン、それに遺伝の関与が考えられています。自己の免疫グロブリンに対する抗体(リウマトイド因子)が産生されて免疫反応が起こり、関節の滑膜に炎症が生じます。白血球(好中球、マクロファージ、リンパ球)から産生される活性酸素や炎症性サイトカイン(腫瘍壊死因子(TNF)α,インターロイキン(IL)-1,IL-6,IL-8)が炎症を促進し、滑膜の増殖、軟骨や骨の破壊が進行していきます。
EBウイルス感染による腺熱(伝染性単核球症)が慢性疲労症候群の原因かもしれない 2006-03-04 00:00:00 EBウイルス感染による腺熱(伝染性単核球症)と慢性疲労症候群の関連を示唆する報告がJournal of Infectious Diseases誌に発表されています。オーストラリアUniversity of New South WalesAndrew Lloyd等は、EBウイルス感染で腺熱を発現した39人を7年間に渡って追跡調査しました。試験の結果、腺熱発現後すぐに脳損傷を発現し、その後症状が回復しなかった患者がいました。その後、長引く症状が慢性疲労症候群と診断されました。 39人中8人が慢性疲労症候群を発現したとのことです。 Lloyd氏は次のように説明しています。「腺熱の急性感染期に疲労や痛みの受容をコントロールする脳領域が損傷すると考えている。もし感染後数週間が経過しても症状が続く場合には、体内のウイルスが原因ではなく、その症状は脳由来と考えられる。」
EBウイルス抗体レベルの上昇は、多発性硬化症のリスクを高める 2006-04-11 00:00:00 多発性硬化症を発現する前に採取・保管していた血清サンプル中の抗EBウイルス(Epstein-Barr virus)抗体レベルと多発性硬化症の関連を調べたところ、EBウイルス抗体レベルが高い人は、その後多発性硬化症を発現するリスクが高いと分かりました。解析の結果、EBウイルス核抗原(EBNA)複合体とEBNA複合体の一成分・EBNA-1に対する抗体力価は、コントロール群に比べて多発性硬化症患者の血清中で有意に高くなっていました。EBNA複合体とEBNA-1に対する抗体力価が4倍以上のレベルであった場合、多発性硬化症を発現するリスクはそれぞれ2.1倍(95% CI1.1-3.8)、1.8倍(95% CI1.1-2.9)高いという結果となりました。多発性硬化症患者におけるEBNA複合体とEBNA-1に対する抗体力価は、多発性硬化症を発現する15-20年前に上昇し、その上昇はその後も持続しました。以上の結果から、EBウイルスに対する抗体レベルの上昇は、多発性硬化症の病理の初期イベントである可能性があると示唆されました。 
EBV抗体価が高い若年成人 1520年後のMS発症リスク高い カイザーパーマネンテ研究所(カリフォルニア州オークランド)研究部のGerald N. DeLorenze博士らは,しばしば単核症の原因となるエプスタイン・バーウイルス(EBVの抗体価が上昇している若年成人は1520年後に多発性硬化症(MS)を発症するリスクが高いことがわかったとArchives of Neurology2006; オンライン版)に発表した。 
EBウイルスによる細胞の癌化に必要な25アミノ酸が同定された 2006-09-08 EBウイルス(Epstein-Barr virusEBVは免疫システムのB細胞に感染してバーキットリンパ腫を引き起こします。これまでの研究で、バーキットリンパ腫細胞が培養中に生存・増殖を維持するには、Epstein-Barr nuclear antigen 1 (EBNA-1) というタンパク質が必要と分かっていました。640アミノ酸で構成されるEBNA-1の様々な部分を変異させ、EBウイルスの遺伝子転写に必要なEBNA-1の最小単位を調べたところ、EBNA-1内の25アミノ酸領域がウイルス遺伝子の転写に必要とされていると分かりました。この25アミノ酸領域を変異させると、EBNA-1B細胞を増殖性細胞へと癌化することができなくなりました。通常の状態では、ある細胞内タンパク質がEBNA-125アミノ酸領域に結合し、EBNA-1によって調節されるウイルス遺伝子と細胞遺伝子の転写が維持されます。今回の研究を実施したUniversity of Wisconsin School of Medicine and Public Health (SMPH) Bill Sugden氏等は、現在25アミノ酸領域に結合するタンパク質の同定を試みています。今回の研究成果はProceedings of the National Academy of Sciencesに発表されます。
感染症の急性症状が重症だった人はその後に疲労症候群を起こしやすい 2006-09-19 急性感染症の後におきる持続疾患のリスクファクター、症状パターン、長期予後を調査した結果が2006916日のBMJ誌に掲載されています。この試験では、EBウイルス、コクシエラ・バーネッティ(Q熱リケッチア)、ロスリバーウイルス(Ross River virus)感染者250人を急性感染から1年間追跡調査しました。この結果、身体活動を不能にする疲労感、筋骨格系疼痛、神経認知障害、気分障害で特徴付けられる持続的な疾患が、6ヶ月時点で12%29人)に認められました。このうち28人は慢性疲労症候群のクライテリアに合致しました。感染後疲労症候群は感染症の種類を問わず定型化しており、それぞれの感染症後に同じような頻度で生じました。この症候群の大部分は、急性症状の重症度によって予想できました。
Epstein-Barrウイルスの血中DNAレベルが高い鼻咽頭癌患者の予後は悪い 2004-06-12 17:11:18 進行した鼻咽頭癌患者99人、コントロール40人、治癒した患者20人を対象にした調査から、鼻咽頭癌患者の血液中にはEpstein-BarrウイルスDNAが認められ、このDNA濃度が高い患者ほど予後が悪いとわかりました。 2004610日のN Engl J Med誌に発表された研究成果です。化学療法・放射線量を受ける前に、99人のうち94人でEpstein-Barrウイルスが認められました。治療後2年以内に再発した18人は治療前のウイルス量が1,500 fragments/mlを全て超えていました。一方残り81人の治療開始前のウイルスレベルは低値でした。治療後にウイルスが検出された患者の生存期間・無増悪生存期間はウイルスが検出されなかった患者よりも有意に短くなっていました。‥> Reference Quantification of plasma Epstein-Barr virus DNA in patients with advanced nasopharyngeal carcinoma. N Engl J Med. 2004 Jun 10;350(24):2461-70.
EBV DNAは予後予測に有用  鼻咽頭癌再発のマーカーに 〔ニューヨーク〕 国立陽明大学(台北)のJin-Ching Lin博士らは,進行性鼻咽頭癌患者99例を対象にエプスタイン・バー・ウイルス(EBVDNAを測定する前向き研究を行った。同博士らは,その結果に基づき「放射線治療終了 1 週間後の血漿中にEBV DNAが検出されない患者に比べ,EBV DNAが持続的に検出される患者では全生存率と無再発生存率が有意に低い」とする論文をNew England Journal of Medicine2004; 350: 2461-2470)に発表した。
HHV8 甘草中の成分・グリシルリジン酸はヘルペスウイルスの潜伏感染を駆逐する 2005-03-02 19:35:39 カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV:HHV8)はカポシ肉腫を引き起こします。他のヘルペスウイルスと同様に、KSHV(HHV8)は宿主細胞で潜伏感染します。潜伏感染中は、KSHVは極少数の遺伝子しか発現していません。潜伏感染中に発現しているKSHV遺伝子を阻害すれば、ヘルペスウイルス感染を駆除できる可能性があります。このたび、甘草中に含まれるグリシルリジン酸は、B細胞中に潜伏感染したKSHVを駆逐する作用があると分かりました。New York Universityの研究者等がJ. Clin. Invest誌に発表した研究成果です。今回の結果から、グリシルリジン酸は、潜伏感染に関わる核抗原(latency-associated nuclear antigenLANA)の発現を抑制し、ウイルスのサイクリン発現を亢進させることで、KSHVが感染したB細胞に選択的に細胞死をおこしていると考えられました。 
カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)と細胞の融合を仲介する表面タンパク質が見つかった カポジ肉腫やリンパ腫を引き起こすウイルス・カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)の感染において必須の役割を担う細胞表面分子が同定されました。
ヒトヘルペスウイルス8型(HHV-8は輸血で伝染する AIDSに関連する最も一般的な癌・カポジ肉腫はヒトヘルペスウイルス8型(HHV-8によって引き起こされます。HHV-8が輸血を介して伝染するかどうかは分かっていませんでした。この文献は、HHV-8血清反応陽性の血液が輸血された人とHHV-8血清反応陰性の血液が輸血された人のHHV-8セロコンバージョン率を比較した成果を報告しています。この試験は、HHV-8感染が蔓延しているウガンダで実施されました。試験の結果、HHV-8血清反応陰性の血液が輸血された人に比べてHHV-8血清反応陽性の血液が輸血された人はHHV-8がセロコンバージョンとなるリスクが2.8%余分に高いと分かりました(5.9% vs 3.1%P<0.05)。Transmission of Human Herpesvirus 8 by Blood Transfusion. NEJM. Volume355:1331-1338 September 28, 2006 Number 13
カポシ肉腫ヘルペスウイルス(HHV8)は血管の内皮細胞をリンパ管細胞に再構成する 2004-06-29 18:35:02 エイズに関連した腫瘍・カポシ肉腫は、リンパ管の血管内皮細胞にカポシ肉腫ヘルペスウイルス(HHV8)感染することで生じる腫瘍と考えられてきました。 20047月のNat Genet誌に発表された研究成果から、カポシ肉腫ヘルペスウイルスが感染した血管内皮細胞は、リンパ管性の細胞に再構成されることがわかりました。細胞に再構成された細胞は、リンパ管の主要遺伝子の70%を発現することが確認されています。その遺伝子の中には、リンパ管性細胞のマスター遺伝子であるPROX1も含まれています。‥> Reference  Lymphatic reprogramming of blood vascular endothelium by Kaposi sarcoma-associated herpesvirus. Nat Genet. 2004 Jul;36(7):683-5. Epub 2004 Jun 27.
エプスタイン・バール・ウイルス エプスタイン・バール・ウイルス陽性腫瘍を標的にする癌ワクチンの初期試験で良好な結果が得られた 2007-10-05 - エプスタイン・バール・ウイルス(Epstein-Barr virus、EBV)はリンパ腫や鼻咽頭癌などの癌と関連します。Biotoday
VZV 太極拳をすると水痘・帯状疱疹ウイルスに対する細胞性免疫が増強する 2007-04-11 - 59-86歳の健康な高齢成人を対象にした無作為化プロスペクティブ試験の結果、太極拳は水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)に対する細胞性免疫(CMI)を高めることが確認されました。 Biotoday
ヘルペス ヘルペス感染の仕組み解明=免疫抑制の受容体を利用−阪大 皮膚などにただれを起こし、角膜に感染すると場合によっては視力低下などの重い症状になる単純ヘルペスウイルス(HSV)が、感染する際に細胞の表面の免疫抑制にかかわる受容体(レセプター)を利用していることを大阪大免疫学フロンティア研究センターの荒瀬尚教授(免疫学)らの研究グループが突き止め、米科学誌セルに20日、発表した。HSVの国内の年間患者数は約8万人とされ、症状が治まってもウイルスが神経節に潜伏して再発を繰り返すなど、完治が難しい。荒瀬教授は「さらに解明が進めば、感染を防止する治療薬の開発が期待できる」と話している。時事.Com
Zoster [医学] 60歳以上の成人への帯状疱疹ワクチンの接種をCDCが推奨 60歳以上の成人は帯状疱疹に対するワクチン接種を受けるべきとアメリカCDCが勧告しました。たとえ以前に帯状疱疹を患ったことがあっても60歳以上の全ての成人はMerck社の帯状疱疹予防ワクチン・ZOSTAVAX (ゾスタバックス、Zoster Vaccine Live)を接種すべきとCDCは言っています。 2008.5.17 Biotoday