b-Amyloid(1-42) Aβ→酸化ストレス→セラミド、コレステロール代謝異常→神経細胞死→アルツハイマー病 β-Amyloid(1-42)、Cholesterol 2004-02-22 17:45:35 死後脳を調べたところ「アルツハイマー病患者のmiddle frontal gyrusという領域には、コントロールに比べてにコレステロールとセラミドが蓄積している」という結果となりました。 2004217日のPNAS誌に発表された研究成果です。middle frontal gyrusはアルツハイマー病の原因とされるAβが蓄積する場所のひとつです。細胞に悪影響を与える酸化ストレスは脂質の変化に伴って生じます。また海馬神経をAβに暴露すると酸化ストレスが生じてセラミドやコレステロールが沈着します。以上より、Aβが細胞膜に酸化ストレスを与えてセラミドやコレステロール代謝を傷害し、神経細胞が死んでアルツハイマー病を引き起こされると考えられました。
脳の神経細胞が「窒息状態」アルツハイマー仕組み解明 老人性痴呆(ちほう)の一つ、アルツハイマー病にかかった人の脳では、神経細胞が「窒息状態」に追い込まれて次々に死んでいくことが、田熊一敞(かずひろ)・金沢大助教授らの研究で分かった。新しい治療法の開発につながる可能性もあるという。16日付の米科学誌サイエンスに掲載される。この病気になった人の脳にはベータアミロイドというたんぱく質がたまりやすく、記憶などにかかわる神経細胞が死ぬことが知られているが、どのように死ぬかはよく分かっていない。田熊さんと米コロンビア大などのグループは、神経細胞の中にあるミトコンドリアという器官に注目。ここに、ベータアミロイドとABADという酵素が一緒に存在することを見つけた。試薬を使ってこの二つがくっつかないようにすると、神経細胞の死ぬ割合が大幅に減ることがわかった。                        (2004/04/16) 
変異APPまたはの発現はミトコンドリアのエネルギー代謝を傷害する 加齢に伴いが脳に蓄積するアルツハイマー病モデルマウス(Tg2576マウス)では、が脳に蓄積する前からミトコンドリアのエネルギー代謝や細胞死に関わる遺伝子が補償的に活動亢進しているとわかりました。 2004428日のHum Mol Genet誌に発表された研究成果です。 Tg2576マウスのミトコンドリア遺伝子解析の結果、海馬歯状回の顆粒細胞、海馬の錐体神経、大脳皮質等が蓄積前から活動亢進しているとわかりました。またATPase-6を有する活動亢進状態の神経が選択的に酸化ダメージを受けることも分かりました。 この結果から、ミトコンドリアのエネルギー代謝は変異APPまたはの発現によって障害をうけ、その結果補償的に遺伝子が活動亢進すると考えられました。
アルツハイマー病の原因とされるの酸化ストレスはメチオニン残基による 2004-11-03 19:44:34 アルツハイマー病の原因とされるの毒性は、内のメチオニン残基による酸化ストレスが原因と考えられています。ヒトのに比べて大きなβシート構造を作り難く、凝集し難いラットのペプチドでは、アミノ酸配列の違いにより銅イオンCu(II)がヒトのよりも結合しにくくなっています。また、ラットのは酸化作用がないと考えられており、このことからヒトの銅イオン結合領域がの毒性に関与している可能性も示唆されてきました。しかし200410月のJ Alzheimers Dis誌に発表された研究成果から、ラットのも酸化作用を有し、の酸化ストレスはメチオニンの作用によると考えられました。 この実験では、の酸化作用はビタミンEによって阻害されることが示されています。ビタミンEのアルツハイマー病に対する作用は定まっていませんが、がアルツハイマー病の主要な原因であると仮定すると、ビタミンEはアルツハイマー病を防ぐ作用があるといえそうです。
アルツハイマー病発症に脳血管内のアミロイド蓄積が関与 米国では患者数が450万人に上ると推計されるアルツハイマー病。ニューロン(神経細胞)周辺の斑(プラク)に蓄積するアミロイド-β(ベータ)ペプチドと呼ばれる蛋白が、アルツハイマー病発症に関与していることが知られているが、同ペプチドの脳血管内蓄積が斑形成に関与するとの2件の新しい研究が医学誌「American Journal of Pathology」8月号に掲載された 米Stony Brook大学薬学研究部教授のWilliam E. Van Nostrand氏らは、遺伝子操作により、アルツハイマー病発症家系に頻繁に認められる、特異的なアミロイド蛋白の変異をもたらすマウスモデルを作成。マウスはアミロイド蛋白を産生し、それらを脳血管内に蓄積。その際に、多数の炎症が生じた。このことは神経細胞ではなく脳血管内の蓄積が炎症の原因となることが考えられた。マウスモデルでは脳血管アミロイドのみ認められたが、同様なことがアルツハイマー病での炎症およびと行動障害の原因として考えられた。Van Nostrand氏は「今回の知見は、脳内の血管がアルツハイマー病研究の重要な標的となることを示すものだ」と述べている。2件目の研究は、米国加齢研究所(NIA)などの研究者らが実施したもので、高密度の斑および高濃度のアミロイド-β沈着を来すよう操作したマウス2系統を用いて、アミロイド-β沈着がみられる血管との関係を検討。脳血管内の蓄積が後に神経細胞斑形成を引き起こす可能性が示唆された。米国アルツハイマー病協会(Alzheimer's Association)の代表でトーマスジェファーソン大学(フィラデルフィア)ファーバー神経科学研究所所長のSamuel Gandy博士は「今回の研究成果を即座に臨床応用できるわけではない。アミロイドが蓄積する部位に直接到達して検討することができないため、この問題はきわめて複雑である。また神経細胞の間に蓄積したアミロイドを一掃する処置を施すのは不可能である」と指摘している。
の血管毒性でアルツハイマー病が発現する 2005-07-23 00:00:00 の脳の神経への蓄積はアルツハイマー病の原因と考えられています。このたび、脳血管へのの蓄積がアルツハイマー病の発病に寄与していることを示す2つの独立した研究成果が8月のAmerican Journal of Pathology誌に発表されます。1つ目の報告でMiao等は、は最初脳血管に蓄積し、このの蓄積がマウスの神経炎症に寄与しているらしいと結論しています。 2つ目の報告でKumar-Singh等は、高濃度ので構成される高密度プラークを作るマウスの実験結果を発表しています。この試験によると、高密度プラークは脳血管に形成され、血管や血液脳関門が破壊され、が血管壁から流出して血管の近くに集積しました。すなわち、の毒性で血管内皮の統一性が失われ、障害がおきた血管の周辺にが蓄積し、その結果アルツハイマー病の原因となる脳損傷がおきると考えられました。 Impaired clearance of amyloid-beta causes vascular damage in Alzheimer's disease / EurekAlert
ワインのポリフェノールはアルツハイマー病の原因と考えられるの神経毒性を緩和する 2005-11-14 00:00:00 ブドウ等のベリー類、ブドウから出来るワイン、ピーナツなどに含まれる天然のポリフェノール・レスベラトロル(Resveratrol)は、アルツハイマー病の原因と考えられるの毒性を緩和する作用があると分かりました。 神経を取り囲むグリア細胞に依存して、病原蛋白質は神経を変性させるという実験結果が集積しています。実験の結果、IkappaBalpha阻害剤でマイクログリアのNF-κβシグナリングを阻害すると神経毒性が抑制されました。また、マイクログリアをで刺激すると、NF-κβ経路を調節するRelA/p65のアセチル化が促進されました。 SIRT1脱アセチル化酵素を過剰発現させたり、SIRT1アゴニストであるResveratrolを投与すると、の刺激によるNF-κβシグナル伝達が顕著に低下し、強力な神経保護作用がもたらされました。 以上より、マイクログリア細胞におけるNF-κβシグナリングがによる神経細胞死に関与しており、SIRT1は、NF-κβシグナリング阻害によりミクログリア依存的なの神経毒性を抑制すると分かりました。 
アルツハイマー病の原因物質、主要構造の解明に成功 アルツハイマー病の原因とされるたんぱく質「ベータ・アミロイド」の主要構造をとらえることに、高野和文・大阪大工学研究科助教授らのグループが世界で初めて成功した。15日、大阪府内でのシンポジウムで発表した。高野助教授は「この主要構造が変化すると、ベータ・アミロイドが次々と線維状に固まっていき、病気を引き起こす」と推測。この変化を防ぐ化合物を見つければ、治療薬につながると期待している。ベータ・アミロイドは、線維状に固まりやすい性質が災いし、構造解析に適した結晶状態にするのが難しかった。高野助教授らは、線維化に関係すると見られている部分を、構造分析に適した別のたんぱく質に組み込む手法で、エックス線による解析に成功。この部分が折り畳まれて平面状になった形をしており、非常に分解されにくい構造であることが分かったという。 ベータ・アミロイドは、正常な脳では酵素によって分解されるが、分解できなくなると、蓄積して「老人斑」という線維状物質を形成、アルツハイマー病を引き起こすと考えられている。 (読売新聞) - 1116314分更新
BMI・体脂肪と血漿中Aβ42レベルに有意な相関が認められた 2006-01-03 00:00:00 肥満や太り過ぎはアルツハイマー病のリスクを高めます。健常人18人を対象にした調査の結果、アルツハイマー病の原因の一つと考えられているタンパク質・Aβ42の血漿中レベルとBMI・体脂肪に有意な相関が認められました。Aβ42はより病原性の高い長いです。Aβ42との相関は認められましたが、より病原性が低い短いAβ40BMI・体脂肪に相関は認められませんでした。
ヘムへの結合がアルツハイマー病において重要な役割を果たしている 2006-03-16 00:00:00 βアミロイド)はアルツハイマー病(AD)の原因と考えられていますが、による神経変性のメカニズムは分かっていません。これまでに、は調節ヘムに結合して機能的ヘム欠損を引き起こし、この結果ADにおいて重要な細胞変化が生じるという仮説が提唱されています。この仮説はChildren's Hospital Oakland Research InstituteHani Atamna等が発表しました。Atamna等は、ヘム欠損により、ヘムを含むcomplex IVが損失してミトコンドリアから過酸化水素などの酸化物質の放出が起きることを確認しています。このたびAtamna等は、in vivoにおいて、調節ヘムへの結合がによるヘム欠乏のメカニズムであることを示す更なるエビデンスを228日のPNAS誌に発表しました。まず、細胞フリーシステムにおいて、ヘムはに結合し、-ヘム複合体を作ることによりの凝集を防ぎました。Atamna等は、この-ヘム複合体が調節ヘムを減少させると考えています。この現象により、によって神経芽細胞腫細胞のヘム合成と鉄分取り込みが上昇することが説明できました。また、-ヘム複合体はペルオキシダーゼ活性を有することが示され、過酸化水素によるセロトニン3,4-ジヒドロキシフェニルアラニンの酸化を触媒しました。ADのモデルマウスの脳において酸化損傷を抑制するクルクミンは、このペルオキシダーゼを阻害しました。以上より、ヘムへの結合を起点として、によるヘム欠乏、巨大分子の酸化損傷、特定の神経伝達物質の減少という3つの現象を統合できると考えられました。 
βアミロイド1-40βアミロイド1-42の血漿中濃度は認知症のリスクと関連している  2006-07-26 βアミロイド(Aβ)ペプチドはアルツハイマー病に見られるプラークの主要成分です。βアミロイド1-40とβアミロイド1-42の血漿中濃度は年齢とともに上昇しますし、若年性アルツハイマー病の原因となる変異のある人ではこの濃度が増加します。また、認知症プロセスの初期にβアミロイド1-42の濃度が低下する可能性があります。これら2つのAβの濃度が認知症のリスクと関係すると仮定し、前向きケースコホート研究でこの仮定を検証した結果が2006年8月のLancet Neurol誌に発表されています。無作為抽出した認知症リスクのある被験者1756名のうち、392名が平均8.6年のフォローアップ期間中に認知症を発症しました。血漿中のAβ濃度と認知症およびそのサブタイプとの関係をコックス比例ハザードモデルを用いて調査しました。調査の結果、ベースラインにおける高濃度のAβ1-40と認知症リスクの高さには関連がありましたが、Aβ1-42の濃度は関連していませんでした。Aβ1-40濃度の第1四分位(Aβ1-40濃度が最も低いグループ)と比較すると、第2・第3・第4四分位の認知症危険率(ハザード比)はそれぞれ1.07、1.16、1.46でした。Aβ1-42/Aβ1-40比が高い人では認知症リスクが低下しました。Aβ1-42/Aβ1-40比の第1四分位(Aβ1-42/Aβ1-40比が最も低いグループ)と比較すると、第2・第3・第4四分位の認知症危険率(ハザード比)はそれぞれ0.74、0.62、0.47でした。アルツハイマー病と脳血管性認知症についても同様の関連が見られました。以上の結果から、Aβ1-40の血漿中濃度が高い場合に、認知症リスクが高くなるとわかりました。特に、Aβ1-40の血漿中濃度が高くてAβ1-42の濃度が低い場合に認知症リスクが高くなりました。Aβの血漿中濃度を認知症発症のマーカーとして利用する可能性を探る価値があると思われます。‥> Article Plasma Aβ1-40and Aβ1-42 and the risk of dementia: a prospective case-cohort study : Lancet Neurology 2006; 5:655-660
猫の脳内でも老化に伴ってリン酸化タウが蓄積する 2006-12-10 以前からネコ(猫)は認知症を発現しうることが知られていましたが、新たな研究から、猫の認知障害にもどうやらリン酸化タウが関連しているらしいと分かりました。リン酸化タウの蓄積はヒトのアルツハイマー病の原因と考えられている現象です。また、これらの物質は加齢により脳内に蓄積します。神経機能障害を呈する17匹の猫を含む生後16週〜14歳の19匹の猫の脳を調べた結果、猫でも加齢によって脳内にリン酸化タウが蓄積すると分かりました。Edinburgh UniversityDanielle Gunn-Moore等がJ Feline Med Surg誌に発表した研究成果です。
男性ホルモンが減少すると海馬と扁桃体でのの蓄積が亢進する 2006-12-23 最近の研究で、男性の加齢に伴う正常なテストステロン減少はアルツハイマー病のリスクファクターと分かっています。しかしアンドロゲンの減少がアルツハイマー病の発現にどのような影響を与えるのかは不明でした。新たな研究の結果、アルツハイマー病モデルマウス(3xTg-AD)から性腺を摘出すると海馬と扁桃体においてアルツハイマー病の主要な原因と目されているタンパク質・の蓄積が亢進すると分かりました。レベル上昇と平行して、性腺摘出したマウスでは海馬機能の障害を示唆する行動変化が認められました。重要なことに、性腺摘出した3xTg-ADマウスをアンドロゲン・ジヒドロテストステロンで治療すると蓄積と行動傷害が軽減しました。この結果から、アンドロゲンが減少するとアルツハイマー病様神経病理の発達が促進することが証明され、同様のメカニズムが低テストステロン男性のアルツハイマー病のリスク上昇の基礎を成していると示唆されました。さらに、今回の結果から高齢男性のアルツハイマー病の治療や予防にアンドロゲンベースのホルモン補充療法が有用と考えられました。
プリオンタンパク質は、アルツハイマー病の原因と考えられているの生成を調節する役割がある 2007-07-10 - βセクレターゼ・BACE1によるアミロイド前駆体タンパク(APP)の分解は、アルツハイマー病の病理に関与しているAβペプチドの生成の初期ステップとなっています。
アルツハイマー病の病理が緑内障でも認められる〜標的薬で緑内障が治療しうる 2007-08-09 - Aβ沈着、神経細胞死、細胞損失はアルツハイマー病と強く関連することが分かっています。新たな研究の結果、同様のメカニズムが網膜疾患・緑内障においても認められると分かりました。Biotoday
アルツハイマー病:原因物質の蓄積抑える酵素発見 アルツハイマー病の原因となるたんぱく質「アミロイドベータ」が脳で分解されずに蓄積するのを抑える物質を、大阪バイオサイエンス研究所などの研究チームが見つけ、26日付の米科学アカデミー紀要に発表した。この物質は、睡眠を促すホルモン「プロスタグランジンD2」を作り出す酵素。チームは「この酵素が十分に働かなくなると、アルツハイマー病を発症する可能性が高まると予想される」と話す。この酵素は脳脊髄(せきずい)液の中に分泌されている。実験で、この酵素を「アミロイドベータ」に加えると、両者が強く結びつき、アミロイドベータ同士が凝集しなくなった。マウスの遺伝子を改変しこの酵素を分泌できないようにすると、正常なマウスに比べ、脳のアミロイドベータ蓄積量が3倍に増えた。逆に酵素の分泌量を増やしたマウスは、アミロイドベータ蓄積量が数分の1になったという。アルツハイマー病は認知症の代表的な病気で、国内の患者数は約200万人とされる。【永山悦子】
魚油に豊富なオメガ-3脂肪酸はアルツハイマー病マウスの病変を軽減する 2007-04-19 - Aβとタウ病変を示すアルツハイマー病マウス(3xTg-AD)にオメガ-3脂肪酸・ドコサヘキサエン酸(DHA)を投与すると、可溶性Aβとタウレベルが低下することが確認されました。 Biotoday
Tau に対する抗体はの凝集とともにTauタンパク質の凝集も分解できる 2004-08-06 20:25:33 に対する抗体を海馬に投与すると、アルツハイマー病の原因とされるの凝集が3日後に消失し、さらにその2日後にTauタンパク質の凝集も消えていくとわかりました。 2004年8月のNeuron誌に発表された研究成果です。 またに対する抗体を投与した30日後にはの凝集が認められましたが、Tauタンパク質の凝集はおきませんでした。このことから、Tauタンパク質の凝集は病気がより進行した状態でおきる現象と考えられました。 また、Tauタンパク質はプロテアソームを介して分解され、過度にリン酸化されたTauタンパク質は分解されませんでした。‥> News Source+ Hope for an Alzheimer's vaccine / BBC
アルツハイマー病の記憶回復に新たなアプローチ ミネソタ大学の研究班は、アルツハイマー病による記憶障害が、タウと呼ばれるタンパク質の発現阻止によって改善できることをマウスの実験で示した。アルツ ハイマー病患者の脳にみられるタウを含んだ神経原線維変化(タンパク質が絡まった構造物)は、同疾患の機序に関わると考えられている。研究班は、神経原線 維変化を生じるマウスを遺伝子操作によって作成し、さらに特定の薬剤投与でタウの遺伝子発現が阻止されるよう遺伝子操作した。これらのマウスに記憶テスト を行うと、正常なマウスよりも記憶力が低かったが、薬剤でタウの発現を阻止すると記憶力が回復した。一方、タウ発現を阻止しても神経原線維変化は進行し続けた。研究班は、タウが神経原線維変化とは関係しない機序で記憶障害に関与しており、タウの機能を阻害する方法が治療法として研究対象となる可能性がある と考察した。
軽度認識障害(MCI)患者の脳髄液中のタウ濃度はアルツハイマー病の発現と直接関連している 2006-02-08 00:00:00 軽度認知障害(軽度認識障害、MCI)患者137人と健常ボランティア137人を対象にした4-6年間の追跡調査の結果、MCI患者が将来アルツハイマー病になるリスクと脳脊髄液中の全てのタウ、リン酸化タウ、Aβ42の濃度は有意に相関すると分かりました。The Lancet Neurology誌の200627日のオンラインバージョンに発表された研究成果です。
タウによる神経変性を防ぐ物質が同定された 2006-09-17 アルツハイマー病を含む神経変性疾患において、タウを含む神経原線維変化(神経原線維濃縮体)が認められます。アルツハイマー病患者の神経変性・認知機能低下とNFT量が相関しますが、タウによって誘導される神経変性を予防するメカニズムは殆ど分かっていませんでした。ショウジョウバエとマウスの脳の複数領域の遺伝子発現解析から、高度に保存されたタンパク質・puromycin-sensitive aminopeptidase (PSA/Npepps) を含むタウ調節物質が同定されました。この研究成果が20069月のNeuron誌に発表されています。In vivoの実験から、タウによって誘導される神経変性をPSAは防ぎ、PSA機能を欠損させると神経変性が悪化しました。さらなる実験から、ヒトPSAタウを直接的にタンパク質分解すると分かりました。この結果から、今回同定されたPSAやその他の遺伝子は、タウオパチーの治療ターゲットとして有望と考えられました。
認知症の原因のひとつ? 異常たんぱく質の正体解明 人格が変わったり、異常行動をとったりすることが多い認知症の一種、「前頭側頭型認知症」(FTD)の原因とみられる異常たんぱく質の正体を、東京都精神医学総合研究所のグループが突き止めた。30日から東京都内で開かれる日本神経病理学会で発表する。病気のメカニズムの解明や治療法開発につながる可能性がある。 FTDは、65歳以下の認知症としてはアルツハイマー病に次いで多い。FTDは、脳に、タウというたんぱく質がたまるタイプと、タウ以外のたんぱく質がたまるタイプに分けられるが、タウ以外のたんぱく質の正体は分かっていなかった。 長谷川成人チームリーダーと新井哲明主任研究員らは、患者の脳に異常にたまっている物質を詳しく調べ、TDP43とよばれるたんぱく質であることを突き止めた。このたんぱく質は、筋肉が次第に動かなくなる筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)の患者の脊髄(せきずい)にもたまっていることを見つけた。米国グループも同じ結論を発表している。 アルツハイマー病では、アミロイドベータという異常たんぱく質がたまることが突き止められてから、これを標的とする治療法の開発が進んでいる。今回の成果も治療法の開発につながる可能性がある。 貫名信行・理化学研究所脳科学総合研究センター病因遺伝子研究グループディレクターの話 ALSと認知症の仕組みがどのように関係するのか、新たな研究が発展しそうだ。 Asahi,Com
老人斑や神経原線維変化に結合する低分子化合物・FDDNPを用いたPETスキャンでアルツハイマー病を識別できる 2006-12-21 アルツハイマー病のリスクがある軽度認知障害患者の脳の皮質領域に蓄積するアミロイド老人斑(Amyloid senile plaque)とタウ神経原線維変化(tau neurofibrillary tangle)はアルツハイマー病の神経病理学的特徴となっています。これらの異常タンパク質を非侵襲的に検出する方法は診断や薬剤開発で使用するサロゲートマーカーの開発において有用と考えられます。アミロイド老人斑とタウ神経原線維変化に結合する低分子・FDDNPを記憶に問題があると自己申告した83人の被験者に注射した後でPETスキャン(FDDNP-PET)を実施し、FDDNPの結合でアルツハイマー病患者を見分けられるかどうかを検討した試験の結果が20061221日のNEJM誌に発表されています。この試験の結果、FDDNPの結合値はアルツハイマー病患者、軽度認知障害患者、健常人で有意に異なっていました。FDDNPの結合値が最も高かったのはアルツハイマー病患者で、その次に高かったのは軽度認知障害患者、健常人ではFDDNPの結合値が最も低くなっていました。この結果から、アルツハイマー病患者と軽度認知障害患者を有していない人と軽度認知障害患者をFDDNP-PETで識別しうると考えられました。 > Article PET of Brain Amyloid and Tau in Mild Cognitive Impairment. NEJM. Volume 355:2652-2663 December 21, 2006 Number 25 
ソマトスタチン アルツハイマー:原因たんぱく質、分解促す物質特定 理研 理化学研究所の研究チームは、アルツハイマー病の原因たんぱく質を分解する酵素の働きを高める性質が「ソマトスタチン」にあることを突き止め、20日付の米科学誌「ネイチャー・メディシン」(電子版)に発表した。ソマトスタチンは、成長ホルモンの分泌を制御するたんぱく質。この物質が細胞表面の受容体に結びつくと、脳内の分解酵素が増え、病気の原因たんぱく質分解が促進されるという。もともと体内にある物質のため副作用の少ない治療物質として注目されそうだ。 アルツハイマー病はベータアミロイドと呼ばれるたんぱく質が脳内に沈着した結果、神経細胞が死滅し、脳が萎縮(いしゅく)すると考えられている。ソマトスタチンの脳内の量は、加齢とともに減少することが分かっていた。 研究チームは、ソマトスタチンを作れなくしたマウスを調べた結果、アミロイドを分解する酵素「ネプリライシン」の脳内の量が通常マウスの6割まで減ることを確認した。また、このマウスの脳にはアミロイドの沈着が約5割も多かった。 研究チームは03年、病原性のないウイルスにネプリライシンの遺伝子を組み込み、アミロイドが沈着しやすいマウスの脳に注入する遺伝子治療を施し、アミロイドの沈着抑制に成功した。しかし、遺伝子治療は実現まで時間がかかるため、研究チームは薬剤によってネプリライシンの働きを高める治療法開発に取り組んでいた。 研究チームの西道隆臣・神経蛋白(たんぱく)制御研究チームリーダーは「ソマトスタチンの受容体に働く薬剤を開発できれば、外科的な治療や副作用の心配なくアミロイドの沈着を減らせる。実用化の可能性は高い」と話す。【永山悦子】
アルツハイマー予防に光 理研、抑制の仕組み解明 アルツハイマー病の発症や進行を遅らせる酵素が脳内で活性化する仕組みを理化学研究所・脳科学総合研究センター(埼玉県和光市)のチームがマウスを使った実験で解明、20日付の米医学誌ネイチャーメディシン電子版に発表した。 この酵素は「ネプリライシン」。アルツハイマー病の原因物質ベータアミロイドを分解、脳での蓄積を防ぐ。今回の結果により既存の化学物質でこの酵素を活性化できる可能性のあることが分かり、予防法開発に結び付きそうだ。 チームは神経伝達物質の一種、ソマトスタチンを持たないマウスの脳ではネプリライシンの活性が下がり、ベータアミロイドが1.5倍に増えることを発見。活性の鍵をソマトスタチンが握っていることを解明した。 ソマトスタチンと同じ働きをする既存の化学物質は複数あり、そのうちの1つは、ほぼ脳の細胞だけで働き、ほかの臓器や組織では働かないため、副作用も避けることができそうだという。 西道隆臣(さいどう・たかおみ)チームリーダーは「ソマトスタチンは年を取るにつれて減ることが知られている。これが高齢になってアルツハイマー病が発症する原因の1つではないか」と話している。記事:共同通信社
インスリン インスリン値と炎症マーカーの上昇〜 アルツハイマー病の病因に 〔ニューヨーク〕 ワシントン大学(ワシントン州シアトル)神経科学のMark A. Fishel博士らは,インスリンレベルの中等度の上昇が炎症マーカーとβ-アミロイドを増加させ,アルツハイマー病(AD)の病因となっているとする研究結果をArchives of Neurology(2005; 62: 1539-1544)に発表した。論文の背景情報によると,インスリン抵抗性と高インスリン血症では炎症マーカーが増加しており,ADリスクが上昇している。炎症はADの鍵となる病原とする仮説が提唱されている。 同博士らは,55〜81歳の健常成人16例に対して,正常血糖値を維持した状態で血中インスリンレベルを上昇させ,血漿と脳脊髄液中の炎症マーカー,モジュレータとβ-アミロイレベルの変化を測定した。その結果,中等度の高インスリン血症により中枢神経系の炎症マーカーが著明に上昇していた。今回の所見は真性糖尿病や高血圧などのインスリン抵抗性が,一部はインスリン誘発炎症を介してADリスクを上昇させることを示唆している。このモデルは真性糖尿病に関連したものであるが,糖尿病には罹患していないが肥満や耐糖能の低下,心血管疾患,高血圧を有する成人の多くにおいて,高インスリン血症とインスリン抵抗性は蔓延している。今回の結果は,中高年集団におけるこれらの疾患の流行が,ADの劇的な罹患率の上昇を引き起こす可能性に注意を促すものである。ADの病因におけるインスリンの役割を理解することは,ADの治療,進行遅延,さらに予防に向け,より有効な戦略の開発につながることが期待される。              (Copyright 2005 DoctorsGuide.com)
アルツハイマー病が進行するにつれて脳内のインスリン受容体レベルとインスリンに対するインスリン受容体の感受性が低下する 2005-12-05 00:00:00 正常に加齢した人と様々な段階のアルツハイマー病(AD)患者合計45人の死後脳を用いた解析で「ADが進行するにつれて脳内のインスリン受容体レベルとインスリンに対するインスリン受容体の感受性が低下する」という結果が得られました。Rhode Island HospitalのSuzanne M. de la Monte等がJournal of Alzheimer's Diseaseの11月号に発表した研究成果です。最も進行したアルツハイマー病患者の脳内では、正常な人の脳に比べてインスリン受容体のレベルが80%近く低下していました。また、インスリンとインスリンに関連した物質・IGF-Iはコリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)の発現を促進することが分かりました。ChATは、ADで不足するアセチルコリンの製造に必要な酵素です。今年初めにde la Monte等は、インスリンとIGF I/IIは脳内で作られ、それらの低下は進行したADに関連することを確認しています。
アルツハイマー病は糖尿病の類似疾患 アルツハイマー病が進展するにつれて、脳内での細胞死や神経原線維変化など、その原因が解明されていなかった所見の多くは、脳内のインスリン産生能の低下などインスリン情報伝達の異常に起因するという研究結果が、医学誌「Alzheimer's Disease」11月号に掲載された。このことから、アルツハイマー病が神経内分泌疾患とほぼ同じものか、あるいは別のタイプの糖尿病であることが考えられるという。 米ロードアイランド病院の神経病理学者でブラウン大学医学部病理学教授のSuzanne M. de la Monte氏らは、脳でのインスリン産生と、アルツハイマー病患者ではその生産能が低下していることを報告しているが(3月7日付既報)、今回はさらに「Braak病期(Braak Stages)」に基づいて、異なる病期に診断されたアルツハイマー病患者45例から生検で脳組織を採取し、アルツハイマー病を発症していない人から採取した組織標本と比較した。 アルツハイマー病で主に損傷を来す前頭葉のインスリン値およびインスリン受容体の機能を評価したところ、アルツハイマー病初期段階で脳内のインスリン値とそれに関連する細胞受容体の量が急激に低下し、重症度が進むにつれ、インスリン値が低下し続けることが明らかになった。また、アルツハイマー病の指標となるアセチルコリン値の低下が、インスリン値の減少とインスリン様成長因子の機能低下に直接関連することが判明した。 病期が最も進展した段階では、インスリン受容体が正常脳に比べ約80%低下していた。これらに加えて、インスリンインスリン様成長因子-Iが細胞受容体に結合する能力が失われることなどが、細胞死につながることが明らかになった。 de la Monte氏は「認知能力に関わる神経伝達物質、エネルギー代謝の低下、進行期の特徴である神経原線維変化をもたらす異常など、今回の研究成果は、こうした幾つかの概念を1つにまとめ、アルツハイマー病がまさに”3型糖尿病”と呼ぶことができるものであることを示している」という。 米インディアナ大学加齢研究センター、アルツハイマー病・神経精神疾患センター所長代理で精神医学教授のHugh C. Hendrie博士は、今回の研究は、糖尿病治療薬がアルツハイマー病の治療に用いることができる可能性を裏づけるものとして評価しながらも、「アルツハイマー病の危険因子としては、高血圧や炎症など多くの因子がある。このため、現時点でアルツハイマー病を糖尿病などの内分泌疾患の枠にはめ込むのは時期尚早であると考える」と述べている。  一方、米コロラド州立大学生物医学科学部教授のDouglas N. Ishii氏は、ラットの研究で、インスリン様成長因子を注入すると学習能力および記憶力のいずれの低下も抑制できることを明らかにしており、インスリンおよびインスリン様成長因子がアルツハイマー病の進行を抑えるのに重要な役割を果たすとみている。
ホモシステイン ホモシステインタウを繋ぐメカニズムが分かった 2007-03-16 - アルツハイマー病のリスクファクターである高ホモシステインレベルとタウやアミロイド前駆体タンパク質(APP)がタンパク質ホスファターゼ2A(PP2A)によってリンクすると分かりました。Biotoday
アルツハイマー病:発症原因の一つ解明 佐賀女子短大教授 佐賀女子短大(佐賀市)の長谷川亨教授(61)=公衆衛生学=が4日、アルツハイマー病が高齢者に多く発症するメカニズムの一つを解明したと明らかにした。老化によって神経細胞の働きが抑制されると、同病を引き起こす物質「ホモシステイン酸」が脳の神経細胞死を招く働きをすることを実験で示した。発症の仕組みが明確になっていない同病の治療に役立てたい考えで、研究成果は、6月に米国で開かれる認知症予防の国際会議で発表する。長谷川教授は05年にホモシステイン酸の有害な働きを初めて特定。今回の実験では老化との関係を分析した。老化が進み、神経細胞の働きが弱くなると、ホモシステイン酸が細胞内に有害物質を蓄積させ、別の原因物質と組み合わされることで細胞死することが分かった。若い世代では、ホモシステイン酸があっても、有害物質が蓄積されていないので、神経細胞死までは起きないという。長谷川教授によると、喪失体験やPTSD(心的外傷後ストレス障害)などの強いストレスがアルツハイマー病の危険因子とされており、ホモシステイン酸はそのようなストレスが持続的に続いた際に増える。    毎日新聞 200735日 954
AchE 緑茶はアルツハイマー病の原因と考えられているβセクレターゼを阻害する 2004-10-26 17:23:26 緑茶や紅茶はアルツハイマー病の発病・進行に関わると考えられているアセチルコリンエステラーゼ(AChE)butyrylcholinesterase (BuChE)βセクレターゼの働きを阻害する作用があると分かりました。20048月のPhytother Res誌に発表された研究成果です。特に、緑茶のβセクレターゼ阻害作用は強力でした。紅茶のβセクレターゼ阻害作用は1日しか続かないのに対し、緑茶のβセクレターゼ阻害作用は1週間持続しました。
インスリン 脳内でのインスリンレベルが低下するとアルツハイマー病の初期サインである神経細胞の変性がおきる 2005-03-08 15:52:32 ラットの実験から、インスリンとその関連物質・IGF I/IIは脳内で作られており、脳内でのインスリンレベルが低下するとアルツハイマー病の初期サインである神経細胞の変性がおきると分かりました。 また、アルツハイマー病患者の脳を調べたところ、インスリンとIGF-Tのレベルが前頭皮質、海馬、視床下部で有意に低下していました。これらの領域はすべてアルツハイマー病の発病に関連があります。
βアミロイド 原因物質発生の仕組み解明=アルツハイマー病で熊本大 熊本大学薬学部の水島徹教授は10日、脳内の炎症がアルツハイマー病を進行させる仕組みを解明したと発表した。原因たんぱく質「βアミロイド」の発生を抑える治療薬につながる可能性があるという。人体中の炎症誘導物質は、神経細胞の表面にある受容体と結合して活性化する。水島教授は炎症誘導物質「プロスタグランジンE2」が、数種ある受容体のうち「EP2」「EP4」と結合すると、βアミロイド発生を促進させ、EP4の働きを抑える阻害薬を使うと逆に発生が抑制されることを試験管内の実験で発見した。遺伝子操作で2つの受容体を持たないマウスを作製、正常なマウスと比較したところ、βアミロイドの量が半分以下に減った。2007ネン9月10日23時32分配信 時事通信
インスリン 糖尿病は万病のもと アルツハイマー発症4.6倍 糖尿病やその「予備群」の人は、そうでない人よりアルツハイマー病になる危険性が4.6倍高いことが、九州大の清原裕教授(環境医学)らの研究でわかった。福岡県久山町の住民約800人を15年間、追跡して分析した。がんや脳梗塞(こうそく)、心臓病も発病しやすいという。糖尿病が、失明などの合併症に加え、様々な病気の温床になることが浮かび、その対策の重要性が改めて示された。 九大は久山町で1961年から住民健診をして、生活習慣や体質と病気の関係を研究。死亡した場合には解剖への協力を求めている。 清原さんらは85年時点で、神経疾患などを研究する米国立衛生研究所の研究機関の基準で認知症ではないと判断した65歳以上の826人を追跡。00年までに集めたデータの解析を進めてきた。 15年間に188人が認知症を発症し、うち93人がアルツハイマー病だった。画像検査のほか、死亡した145人は9割以上を解剖して確定診断をした。 同じ826人について、ブドウ糖の代謝能力である耐糖能の異常も調査。生活習慣が主な原因とされる2型糖尿病の病歴がある空腹時血糖が血液0.1リットルあたり115ミリグラム以上――などの人らをアルツハイマー病調査と合わせて分析した。これら糖尿病やその予備群の人は、耐糖能異常のない人に比べて4.6倍、アルツハイマー病になる危険性が高かった。 清原さんによると、脳にたまってアルツハイマー病を引き起こすとされる物質は、インスリン分解酵素によって分解される。耐糖能異常の人はインスリンが少ない場合が多く、分解酵素も減るので、アルツハイマー病の危険性が高まるという。 解剖などによる確定診断に基づいたアルツハイマー病研究で、これほどの規模のものは世界でも例がないという。 また、別に40〜79歳の約2400人を88年から12年間追跡し、糖尿病とがん、脳梗塞などとの関係も調べた。その結果、糖尿病の人は、そうでない人よりがん死亡の危険性が3.1倍高く、脳梗塞も1.9倍、心筋梗塞など虚血性心疾患も2.1倍高かった。 清原さんは「糖尿病対策がアルツハイマー病予防につながる可能性がある。国内ではここ十数年で耐糖能に異常がある人が女性で2割、男性で4割増えており、対策を急ぐ必要がある」と話す。Asahi.Com
HSV-1 単純ヘルペスウイルス1型(Herpes Simplex VirusHSV-1とアルツハイマー病の関連を示す新たな研究成果 この知見とこれまでの研究成果から、HSV-1感染は特にApoE4を有する人のアルツハイマー病リスクを高める危険があると示唆されました。アルツハイマー病を発現した人のおよそ半数にApoE4が認められ、白人の約30%がApoE4遺伝子型を少なくとも一コピー有しています。また、およそ80%の高齢者がHSV-1を有しています。したがって、ApoE4HSV-1がアルツハイマー病のリスクを高めるとすれば、それは非常に大きな影響を与えていることになります。マンチェスター大学のRuth Itzhaki等がヒト脳細胞にHSV-1を感染させたところ、細胞内でβアミロイド(タンパク質のレベルが劇的に上昇しました。はアルツハイマー病患者の脳内に認められる老人斑の主要な構成成分です。また、HSV-1を感染させたマウスの脳内においてもが同様に上昇することをItzhaki等は確認しました(Neuroscience Letters, Article in Press)。 このことから、HSV-1はアミロイドタンパク質を生成し、最終的にアルツハイマー病患者の脳にある老人斑を生じさせている可能性があるとItzhaki氏は言っています。別の実験でアルツハイマー病患者の死後脳を調べたところ、HSV-1を有するアルツハイマー病患者のアミロイド斑にHSV-1DNAが付着していることが確認されました。この研究成果は9月に英国のケンブリッジで開催されたStrategies for Engineered Negligible Senescenceの会議で発表されました。昨年、ロチェスター大学のRenee Miller氏は、ApoE4を有するマウスにおいてHSV-1はより活性が高いことを示す結果を発表しました(Neurobiol Aging. 2006 Nov 11)。Itzhaki氏は、ApoE4遺伝子型を有する人においては潜伏感染しているHSV-1が何度も活性化するのではないかと推測しています。彼女は抗ウイルス薬によってこの活性化をストップできるかどうかを調べたいと考えています。また彼女は次のように言っています。「最終的には、ApoE4遺伝子型を有する人に抗HSV-1ワクチンを小児期に接種するようになるかもしれない。」もちろん、抗ウイルス薬やワクチンの有効性は臨床試験で慎重に調べていく必要があります。単純ヘルペスウイルス1型が感染した脳細胞ではが大量に生じる。Biotoday 
HSV, CMV ウイルスと認知症 ヘルペスウイルスサイトメガロウイルスのウイルスレベルが高いことと家庭に住む高齢者の認知障害が関連することを示した報告が2004年に発表されています。  Biotoday
タウたんぱく質 「老化で物忘れ」の仕組み解明=アルツハイマーと同じたんぱく質関与−理研 アルツハイマー病に関与するたんぱく質の一つが、老化に伴う記憶障害の原因になっていることを、理化学研究所の高島明彦アルツハイマー病研究チームリーダーらがマウスを使った実験で確認し、15日付の学会誌に発表した。このたんぱく質が脳内に蓄積すると、アルツハイマー病の原因になる神経細胞の変質(神経原繊維変化)をもたらすが、早期に発見できれば、発症予防が期待できるという。人間の脳は老化に伴い、記憶の形成にかかわる嗅内野(きゅうないや)という部位に「過剰リン酸化タウたんぱく質」が蓄積し、神経原繊維変化が発生。その後「ベータアミロイド(Aβ)」と呼ばれる別のたんぱく質により脳の広い部位に神経原繊維変化が拡大、アルツハイマー病に至る。研究チームは、ヒトのタウたんぱく質を作るマウス(タウマウス)を遺伝子操作でつくった。学習、記憶行動と神経細胞の活動を調べたところ、若いタウマウスでは通常のマウスとの違いはなかったが、老齢では嗅内野の神経原繊維変化が起きていなくても、記憶能力が極端に低下していた。老齢タウマウスの嗅内野を詳しく調べると、神経細胞同士のつながり(シナプス)の減少が判明。タウたんぱく質が神経原繊維変化とは別に、シナプスを減少させて記憶障害を起こしていることが分かった。 神経原繊維変化は元に戻せないが、タウたんぱく質は薬剤で害を与えない状態に変化させることができるため、早期の発見により、記憶障害の改善やアルツハイマー病への進行を防げる可能性があるという。 11月16日2時30分配信 時事通信
ホモシステイン HDLレベルが低く、ホモシステインレベルが高く、糖尿病を有する患者は脳卒中後に認知障害や身体障害を来たすリスクが高い 2007-12-01 - 過去3ヶ月以内に軽度〜中等度の脳卒中を患ったアメリカ・カナダ・スコットランドの35歳以上の男女3680人のデータを解析した結果、糖尿病の有無・HDLコレステロール・ホモシステインと脳卒中後の認知機能や身体機能転帰の関連が示唆されました。Biotoday
βアミロイド アルツハイマー病を引き起こすβアミロイドが神経毒性の強い球状構造を持つ新たな中間体を経て不可逆的な線維構造へと変換することを発見 Illinoi大学化学部NMRラボの研究グループは、βアミロイドの1-40ペプチドを用いてアミロイド形成過程を調べ、毒性のないモノマーから、毒性の強いパラレルβシート構造の球状中間体()を経て、最終的に超分子構造を形成後に線維へと変換することを明らかにした。詳しくは、12月第2週中に発行されるNature Structural Molecular Biology誌オンライン版(07122日付け)に掲載された。
アミロイドβ蛋白1-42タウ蛋白 早期発見のためのバイオマーカー 鳥取大学大学院保健学専攻の浦上克哉教授は,認知症スクリーニングのためのマーカーと,次の段階の確定診断に使うバイオマーカーとに分けた研究結果を示した。 1 次スクリーニングのためのマーカーとして,同教授のグループはタッチパネル式コンピュータを用いた認知症スクリーニング法を開発。3 〜 5 分で「単語再認」,「日時の見当識」,「視空間認知機能」の 3 項目の検査を行うもので,かかりつけ医でも簡単に導入できる。人が検査をするテストで生じるばらつきもなく,被検者の負担も少ない。既に地域の認知症予防検診で,従来のアンケートや通常の問診では見逃されていた初期の認知症が発見されている。 現在,確定診断のためのバイオマーカーとして,アミロイドβ蛋白1-42タウ蛋白の比率などが有用とされているが,単体でより精度の高いものとしてリン酸化タウ蛋白が感度96%,特異度97%と,有用性が高いことがわかった。しかし, アルツハイマー病(AD)とタウオパチーとの鑑別ができない。そのため,同教授らは新しい物質として小麦胚芽レクチン(WGA)結合糖蛋白に着目し検討した。この値を測定すると,ADとその他の認知症との鑑別が可能であるとのデータが得られている。 同教授は,今後の課題として「髄液検査は一般的に実施できないため,尿や血清などの簡便なサンプルを用いて数値で判定できる実用性の高いバイオマーカーの開発が使命と考える」と述べた。
タウ蛋白タンパクシツ タウ蛋白質濃度低下が治療戦略に 動物実験で可能性を示唆 〔ニューヨーク〕 ミネソタ大学(ミネソタ州ミネアポリス)のKaren H. Ashe博士は,臨床的に意義のある基礎研究の情報を医師に提供することを目的としてNew England Journal of MedicineNEJM2007; 357: 933-935)に発表した論文で,「タウ蛋白質濃度の低下は,アルツハイマー病(AD)と関連疾患の治療の有効な戦略であるか,動物実験の結果がヒトに当てはまるのかといった疑問は残るものの,Scienceに最近発表された研究は治療戦略の可能性に扉を開くものである」と述べている。
タウ蛋白タンパクシツ タウ蛋白質濃度低下で機能障害を予防 カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF,サンフランシスコ)のErik D. Roberson博士らは,Science2007; 316: 750-754)に発表した研究のなかで,内因性タウ蛋白質濃度の低下がヒトアミロイド前駆体蛋白質(hAPP)を発現するトランスジェニックマウスにおける行動障害を予防すること,しかもその予防効果は高βアミロイド蛋白質濃度を変化させずに発揮されることを実証し,さらに,同モデルマウスにおけるタウ蛋白質濃度の低下がトランスジェニックマウス,野生型(形質転換していない)マウスのいずれでも興奮毒性の発現を抑制することを立証した。これらの知見から,同博士らはタウ蛋白質濃度を低下させることにより,βアミロイド蛋白質誘発性の神経機能障害と興奮毒素誘導性の神経機能障害を予防できると結論。この試験のために,APPを産生する突然変異マウスを,タウ蛋白質遺伝子を不活化させたマウスと交配させ,正常マウスより低レベルのタウ蛋白質を発現するマウスを遺伝子操作により作製した。同博士らは以前,実験のためにAPPを産生する突然変異親マウスを開発し(Mucke L, et al. Journal of Neuroscience 2000; 20: 4050-4058),今回の試験用にhAPPの変異体を産生するマウスを開発した。この変異体は,早発性家族性ADに関連した 2 種の変異を持つ 1 つの遺伝子により,これらのマウスにコードされた。APPは,切断されるとβアミロイド蛋白質を遊離する。同博士らの2000年の実験のために開発されたマウスは,加齢による行動障害,記憶喪失とアミロイド斑を示したものの,神経原線維塊は見られなかった。さらに,2000年の実験では,一部のマウスが早期に突然死している。[2008110日(VOL.41 NO.2 p.42] Medical Tribune
タウ蛋白質 阪大医学部武田教授、アルツハイマー病の論理的バイオマーカーをカナダPDI社と論文発表、化合物の臨床評価に活用2008-01-23 Biotechnology Japan 「認知力の改善を評価できる生物学的マーカー(バイオマーカー)は、適当なものがない。10年ほど前から髄液中のアミロイドβの減少やタウたんぱく質の増加を、ELISA法で定量しているが、一番の問題は病気の程度や重症度とあまり相関しないことだ。そのため薬物投与など介入の効果判定にも使いにくい。どういうストラテジーで重症度を把握していくか、いろいろな考え方がある。メタボローム解析で今回、1つ候補が見つかった」──アルツハイマー型老年認知症(DAT)の患者で、血清中のエタノールアミン・プラスマローゲン(PlsEtn)が欠乏することを確認したという成果を、J.Lipid Research0711月号(J Lipid Res. 2007 Nov;48(11):2485-98.)に論文発表した大阪大学医学系研究科情報統合医学講座精神医学の武田雅俊教授は、DATを改善する効果を期待できる化合物の臨床評価で、血清PlsEtnに期待していることを強調した。この成果は、阪大病院が075月に包括提携したカナダPhenomenome Discovery Inc.社などとの共同研究の成果だ。
アミロイドβ(ベータ)蛋白 アルツハイマー病のプラークは1日で形成される わずか24時間で形成されることが、英科学誌「Nature」2月7日号で報告された。アミロイド斑は、アミロイドβ(ベータ)蛋白(たんぱく)が蓄積したもので、アルツハイマー病患者の脳にみられる。 研究を率いた米マサチューセッツ総合病院(ボストン)神経変性疾患研究所のBradley Hyman博士によると、これまで、アルツハイマー病の動物モデルを用いた研究により、疾患が進行する個々の段階の断片的な撮像は得られていた。今回使用した顕微鏡イメージング技術によって、このプロセスを生きた動物の脳で初めから終わりまで順を追って見ることが可能になり、炎症細胞が活性化されて生じるさまざまな事象がわかったという。いったんアミロイド斑が発生すると、近辺の神経細胞がほぼ即座に損傷を受けることもわかった。 Hyman氏らは、アミロイド斑を形成する系統のマウスを用い、この顕微鏡イメージングを最初は週1回、その後1日1回実施した。その結果、プラークの形成が比較的まれな事象であることがわかった。しかし、一部のマウスでは、アミロイド斑の見られない画像が撮像されてからわずか24時間後に、アミロイド斑が認められたという。 このアミロイド斑形成マウスに起こることは、ほぼ間違いなくヒトの脳にもみられるといい、アルツハイマー病リスクをもつ人にこの知見を適用することができるとHyman氏は述べている。アルツハイマー病研究では、アミロイド斑形成が先か、神経変性が先かが議論の対象となっていたが、今回の研究から、プラークの形成が最初の事象であることも裏付けられたという。神経変性が数日で起こることもわかった。 米国アルツハイマー病協会(AA)のSam Gandy博士は、この知見はアルツハイマー病の治療法開発に直接関連するもので、抗アミロイド治療が理にかなったものであることがさらに強く裏付けられたと述べている。また、アミロイド斑は血管の近くにのみ形成されるとの報告が過去にあったが、今回の研究結果からは、そのようなことはないこともわかった。 一方、アルツハイマー病の原因とされる脳の変性は、アミロイド斑の形成だけではないとHyman氏は述べている。もう一つの注目すべき特徴に、脳の神経細胞の骨格をなすタウ蛋白(tau protein)の変性がある。今回と同じ技術を利用して、このタウ蛋白の変性に関する研究もまもなく開始される予定とのこと。200826/HealthDay News
アミロイドβ <アルツハイマー>老人斑なくても発病 大阪市大など発見 アルツハイマー病の確定診断の指標の一つで、患者の脳に必ず見られるとされてきた老人斑(アミロイド斑)がなくても、発病する場合があることを大阪市立大などの研究チームが発見した。こうした患者からは、これまで知られていなかった遺伝子の変異が見つかり、発症メカニズム解明や治療法開発につながる可能性がある。米神経内科学誌電子版に掲載された。老人斑は、アミロイドβというたんぱく質が数珠状につながってできる。脳に蓄積すると、神経細胞が死んでしまい、記憶障害などアルツハイマー病の症状が出るとされる。富山貴美・大阪市立大准教授(脳神経科学)らが、若年性アルツハイマー病患者の遺伝子を調べたところ、アミロイドβを作る遺伝子の一部が欠損している例を発見。この患者の脳に老人斑は見つからず、アミロイドβ分子が数個結合した重合体だけがあった。研究チームの森啓・同大教授によると、多くのアルツハイマー病患者の脳には、老人斑とともにアミロイドβの重合体が見られる。ラットを使った研究では、この重合体が神経細胞同士の情報伝達を阻害し、認知症のような症状を起こす例が報告されているという。森教授は「アルツハイマー病は、アミロイドβの重合体があるだけで発症する可能性がある。老人斑にターゲットを絞った現在の診断や治療法を見直す必要性があるかもしれない」と話している。【大場あい】
IL4を発現するワクチン接種でマウスのアルツハイマー病が防げた 2008-05-21 - アルツハイマー病の原因物質と考えられていると2型ヘルパーT細胞様T細胞反応を促すサイトカイン・インターロイキン-4を発現するヒトヘルペスウイルス(HSV)アンプリコンのワクチン接種によりアルツハイマー病マウスの病理が軽減し、行動や学習/記憶機能が改善しました。