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妊婦は歯周病にご用心 Gingivalis AaY4 |
2003-02-05 00:00:00 「出産時に重度の歯周病を患っていた妊婦は、健康な歯周の妊婦に比べて2.5倍子宮子癇になるリスクが高かった」ことが妊婦1115人を対象にした調査から明らかになりました。研究成果がノースカロライナ大学とデューク大学の研究者等によって2月のObstetrics
and Gynecology誌に発表されました。研究者等は、歯周病が全身の感染症を引き起こすことで子宮子癇をおこしやすくしているのではないかと考えています。 |
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2型糖尿病の日本人には Porphyromonas gingivalis
による歯周病が多い |
日本人の肥満ではない2型糖尿病患者134人の歯周病を引き起こすとされている口腔内細菌3種に対するIgG値を調べた結果、Porphyromonas gingivalis(グラム陰性菌) による歯周病の罹患率が52.2%と圧倒的に高いことがHormone and Metabolic Research 2004 Feb; 36(2)で報告された。冠動脈疾患といくつかの歯周病原性細菌との関連性は既に報告されているが、これにより、日本人の肥満ではない2型糖尿病における冠動脈疾患とPorphyromonas gingivalis による感染性歯周病との関連性が示唆される。(2004/3/9) |
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口腔内の歯周病関連バクテリアの数が多い人ほど動脈硬化が進んでいる |
2005-02-09 16:19:30 歯周炎を含む慢性の感染症と循環器疾患には相関があると考えられています。Oral Infections and Vascular Disease Epidemiology Study
(INVEST)に参加した平均年齢69歳の1056人のうち、口腔に関する情報が得られた657人を対象にした調査の結果、口腔内の歯周病関連バクテリアの数が多い人ほど頚動脈が厚くなっていました。この結果から、口腔に歯周病菌が多い人は動脈硬化が進んでおり、心臓発作や脳梗塞のリスクが高くなっていると考えられました。歯周病バクテリアの数とC-reactiveに相関は認められませんでした。 INVESTには、試験開始時点で脳梗塞や心臓発作の既往がなかった人が参加しています。 GingivalisとAaY4のRCSがあります。 |
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歯周病菌が血管の病気の原因に バージャー病と関連 |
手や足の血管が詰まる難病、バージャー病が歯周病菌と関連していることを東京医科歯科大の岩井武尚教授(血管外科)や石川烈教授(歯周病学)らが突き止めた。予防や悪化防止にもつながる成果という。米国の血管外科専門誌の7月号に発表する。
バージャー病の患者は国内に約1万人いるとみられる。手や足の動脈に炎症が起きて血流が悪くなり、ひどい場合は足の切断に至ることもある。
岩井教授らは患者の同意を得た上で、病気になった動脈で歯周病菌に特有のDNAの有無を調べた。歯周病菌にはさまざまな種類があるが、今回は代表的な7種類で検査、患者14人中13人で歯周病菌が見つかった。また、14人全員が歯周病になっていた。バージャー病でない7人の動脈からは歯周病菌は見つからなかった。ネズミを使った実験では、歯周病菌が血管内に血のかたまりを作ることが分かった。
これらの結果から岩井教授らは、口の歯周病菌が血管の中に入り、バージャー病の発症や悪化に関係するとみている。バージャー病は喫煙者に多く、喫煙は歯周病を悪化させる。歯周病を抑えることや禁煙が、この病気の予防や悪化防止につながるという。 |
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歯周病を引き起こすバクテリアが動脈細胞に侵入・感染する時に必要な遺伝子が見つかった |
2006-05-26 歯周病を引き起こすバクテリアが動脈細胞に侵入・感染するときに必要な遺伝子が見つかりました。フロリダ大学のPaulo Rodrigues等が、この遺伝子の研究成果をAmerican Society for MicrobiologyのGeneral Meetingで発表しました。これまでの研究でRodrigues等は、歯周病バクテリア・Porphyromas gingivalisがヒト動脈細胞に感染することを突き止めていました。新たな実験から、P. gingivalisが動脈細胞に感染する時に必要な4つの遺伝子が同定されました。この遺伝子のいずれかに変異を起こすと、P. gingivalisの動脈細胞への侵入能力と動脈細胞内での生存能力が低下しました。この結果から、動脈細胞へのP. gingivalisの侵入と動脈細胞内での生存において4つの遺伝子は特定の役割を担っていると考えられました。 |
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歯周病が糖尿病引き起こす可能性 九州大が調査 |
歯周病が糖尿病を引き起こす可能性のあることが、福岡県久山町の住民を対象にした九州大学の調査で分かり、国際歯科研究学会の雑誌6月号に掲載された。糖尿病患者が歯周病になりやすいことは知られていたが、歯周病が全身の病気に及ぼす影響が疫学調査によって明らかになってきた。
調べたのは、九州大病院口腔(こうくう)ケア・予防科の斎藤俊行講師らで、血糖値に異常があり糖尿病と診断される一歩手前の「境界型」に注目。同病院が疫学調査を続けている久山町の住民のうち88年の健診で血糖値が正常だった406人について、98年の健診で血糖値の推移と口の健康状態を調べ、歯周病のある人が境界型になりやすいかどうかを分析した。
98年に境界型と診断されたのは72人。血糖値の悪化にかかわるとされる肥満度や運動習慣といった要素が影響しないように計算すると、中程度の歯周病がある人はない人よりも2・1倍、重度の人だと3・1倍、境界型になりやすかった。
歯周病は、主に細菌が歯と歯茎のすき間などにたまって起こり、放置すると歯を支える骨が溶けることもある。歯周病が続くと、細菌が血中に入り込み、血糖値を下げるインスリンの働きの邪魔をするとされている。 (2004/06/18) Gingivalis AaY4 |
P. gingivalis感染 |
〜歯周病原性細菌P.
gingivalis感染による動脈硬化促進〜経鼻ワクチンによる抑制に可能性 |
近年,ある種の感染性病原体がアテローム動脈硬化の発症を促進することが明らかになりつつあり,最近では歯周病原性細菌の 1つであるPorphyromonas
gingivalisがその候補に加えられ,さまざまな研究が進められている。日本大学松戸歯学部感染・免疫学の山本正文教授と栗田智子准教授らは,P.gingivalis感染により動脈硬化が促進されることを示し,さらに同菌の外膜蛋白質を用いた経鼻ワクチンが,同菌感染による動脈硬化の予防ワクチンとして有効である可能性を報告した。同教授らに同経鼻ワクチンのP.gingivalis感染による動脈硬化予防の可能性について聞いた。粘膜ワクチンの開発に挑む。これまでの研究で,従来考えられていた血液中のリンパ球を中心とした免疫システムとは別に,粘膜組織にはその直下に固有の免疫システムが存在することがわかってきた。山本教授は「眼,鼻,口,呼吸器,消化管,生殖器などといった粘膜組織に,全く別の免疫システムが存在するということである。粘膜組織(管組織)は外部から侵入してくる病原性細菌の入り口になっている」と話す。なかでも,口腔は消化管の始まりである。口腔内には齲触や歯周病を引き起こす病原性細菌が存在する。粘膜免疫システムで言えば,唾液のなかに齲触や歯周病の病原性細菌に対する免疫応答をあらかじめ働きかける措置を取っておけば,菌が口腔内に侵入してきたとき,唾液のなかの抗体によって齲触や歯周病の発生を予防できる。そこで,「われわれは齲触と歯周病に関するワクチンの開発研究を続けている」と同教授は言う。P.gingivalisと動脈硬化が関連 歯周病は浅いポケット形成を伴う歯肉炎の段階から,ポケットが深くなり歯槽骨吸収の進展した歯周炎を経て,最終的に歯の脱落に至る。歯周病の成立・進行にかかわるのが歯肉縁プラークに存在するP.gingivalis(図1),Actinobacillus
actinomycetemcomitans,Tanerella
forsythensis,Treponema
denticola,Campylobacter
rectus,Fusobacterium
nucleatum,Prevotella
intermediaなどの歯周病原性細菌である。これらの菌は,凝集してバイオフィルムを形成して共生し,宿主免疫に抵抗する。歯周病原性細菌とアテローム動脈硬化との関係は,P.gingivalisを中心として研究されている。同菌が産生する蛋白分解酵素ジンジパインは上皮接合部を変性して同菌を上皮下に侵入させる可能性があり,また血小板凝集や凝固系活性化作用を有するとされている。さらに,同菌の冠動脈侵入や動脈硬化促進作用が報告されている。P.gingivalisとアテローム動脈硬化の関係は,動物実験により実際のメカニズムが少しずつ明らかになっている。最近有力とされている仮説の1つが,同菌感染が直接的あるいは間接的に血管内皮に局所的炎症反応を惹起し,アテローム動脈硬化に特徴的な炎症反応を通して,最終的にアテローム病巣(プラーク)の形成へと導くメカニズムである(図2)。栗田准教授と大学院生の小泉由起子氏は,P.gingivalis感染がアテローム動脈硬化発症に重要な作用を持つと考え,一連の研究を行っている。今回,同菌の外膜蛋白質を用いた経鼻ワクチンが, 同菌感染による動脈硬化促進に対し,どのような影響を及ぼすかを検討した。まず,動脈硬化モデルであるApo-Eノックアウトマウス(Apo-e shl)を,(1)経鼻免疫群(2)感染群(非免疫群)(3)非感染群―の 3 群に分けた。経鼻免疫群にはP.gingivalisの主要な病原因子である分子量40k-Daの外膜蛋白質(40k-OMP)をアジュバントのコレラ毒素(CT)とともに週 1 回,3 週間にわたって経鼻免疫し,その後は 3 週間にわたり週3 回ずつ同菌381株を経静脈感染させた。感染群には,経鼻免疫せずに,同菌381株を経静脈感染させた。非感染群には経鼻免疫せずに,リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を経静脈投与した。動脈硬化の判定はOil red O染色を行い,病変部面積を計測することにより評価した。その結果,感染群では非感染群と比べて大動脈弓起始部の病変部面積の増大が認められた(図 3)。これに対し,経鼻免疫群では血清中に40k-OMP特異的IgG抗体が誘導され,感染群と比べて,動脈硬化病変部の面積が顕著に減少した。さらに,P.gingivalisによる炎症性サイトカインやケモカインに対する影響を検討した。その結果,感染群では非感染群と比べてL-セレクチン,顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF),顆粒・大食細胞コロニー刺激因子(GM-CSF),インターフェロン(IFN)γ,インターロイキン(IL)-6,IL-13,RANTES(regulated
upon activation, normal T cell expressed and secreted),腫瘍壊死因子(TNF)α,血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の増加が認められた。これに対し,経鼻免疫群は感染群と比べて,これらの炎症性サイトカインやケモカインは抑制された。以上の結果から,同准教授らは「P.gingivalis感染により動脈硬化が促進されることが示された。そして,それには炎症性サイトカインやケモカインの増加を伴っていた」と分析。その一方で,「40k-OMPを用いた経鼻免疫は同菌感染による動脈硬化の促進を抑制するとともに,炎症性サイトカインやケモカインの増加を抑制した」と述べた。 |
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