水銀スイギン 図1
水銀」注意の魚、妊婦の摂取量引き下げ・厚労省見直しへ
キンメダイなどの魚に含まれるメチル水銀が胎児の健康に影響を及ぼす恐れがあるとして、厚生労働省が昨年、妊婦などに摂取量を控えるよう注意を促した問題で、同省は23日までに、注意対象魚類の見直しの検討を始めた。国際機関の基準値引き下げを受け、諸外国で注意事項の改定が相次いでいるためで、日本では対象外のマグロが注意対象に含まれる可能性も浮上してきた。 水俣病で問題になったメチル水銀の毒性は特に胎児に影響を及ぼしやすいとして、日本では1週間の耐容摂取量は体重1キロ当たり3.3マイクロ(マイクロは100万分の1)グラムとの規制値を定めている。メチル水銀は食物連鎖を通じて大型魚や深海魚に蓄積しやすく、日本人は総水銀量の8割以上を魚介類から摂取している。厚労省は昨年6月、妊婦や妊娠の可能性のある人を対象にキンメダイ、メカジキの摂取は週2回以下(1回60―80グラム)を呼び掛けるなど魚介類7種の注意事項を公表。マグロ類も高い水銀濃度が示されていたものの、「1回の平均摂取量が少ない」との理由で対象から外れた。 [2004年12月24日/日本経済新聞 朝刊]
魚中の水銀による心疾患リスクを再確認 リスク減らす摂食も可能 〔フィンランド・クオピオ〕 クオピオ大学公衆衛生研究所のJykri K. Virtanen博士らは,魚類を摂食することによる水銀摂取と心血管疾患(CVD)を結び付ける新たなエビデンスをArteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology2005; 25: 228-233)に発表した。しかし,CVDリスクを減らす一方で,魚を堪能することも可能だとしている。   高濃度水銀群は死亡リスク高い      先にVirtanen博士が実施した住民対象のクオピオ虚血性心疾患危険因子(KIHD)試験は,毛髪中に含まれる高濃度の水銀と頸動脈アテローム動脈硬化症の関連を初めて示した。続いて実施された抗酸化物質・心筋梗塞・乳癌に関する欧州多施設症例対照研究でも同様の関連が示された。しかし,水銀摂取とCVDの関連に関するより近年の研究では,逆の結果が示されている。※食品や魚中の水銀は(CH3)2HgRCSがあります。
水銀レベルが高い妊婦は早産になりやすい  2006-10-13 アメリカミシガン州の妊婦1024人を対象にした試験の結果、毛髪中の水銀レベルと早産が関連すると示唆されました。調査の結果、魚の全摂取量と毛髪中の水銀量が正相関し、満期出産女性に比べて妊娠35週未満で出産した女性では毛髪水銀レベルが90thパーセンタイル(0.55μg/g)以上となっている割合が高くなっていました。特に缶詰の魚が水銀暴露の主な原因となっていると示唆されました。
メチル水銀の摂取基準、現行の4割減に調査会試案 魚介類などに含まれるメチル水銀について、内閣府の食品安全委員会汚染物質専門調査会(座長=佐藤洋・東北大教授)は8日、妊婦などが食べ続けても健康に悪影響がない「耐容摂取量」を、1週間に体重1キロ・グラム当たり2マイクロ・グラム(マイクロは100万分の1)とする試案をまとめた。 厚生労働省の現行基準は同3・3マイクロ・グラムで、これを約40%も下回る。同省は、同委員会が近くまとめる最終結論を待って、注意すべき魚種などを再検討する。 同省の調査では、過去10年の日本人の水銀摂取量は平均1・2マイクロ・グラム。メチル水銀は胎児への影響が大きいとされ、試案は妊婦か妊娠している可能性のある人だけを対象としている。 同省は一昨年に現行基準を定め、キンメダイなど7種類の魚や鯨類の食べ過ぎを注意する通知を出した。その後、国際専門家会議が耐容摂取量を大幅に引き下げたため、同省が食品安全委に評価を依頼していた。 メチル水銀は、体内に多量に蓄積すると、神経症状を起こし、水俣病の原因になった。      (読売新聞) - 6月9日0時42分更新
妊婦は魚介類食べ過ぎ注意 メチル水銀、胎児に悪影響  魚介類に微量に含まれるメチル水銀が胎児に悪影響を与える恐れがあるとして、薬事・食品衛生審議会の専門部会(部会長・熊谷進東京大教授)は2日、妊娠中の女性はマグロなどを極端に食べ過ぎないようにとする注意事項を正式に決めた。 15種類を対象に食べる目安を示しており、厚生労働省は自治体や団体に通知、妊婦向けのパンフレットで周知を図る。 食べてもよい量の目安は、1回約80グラム(刺し身一人前または切り身一切れ)として、キンメダイやメバチマグロは週1回まで、ミナミマグロは週2回までなど。ツナ缶やキハダマグロなどは、通常の摂食で差し支えないとしている。 8月の部会では16種類を対象にしていたが、クロムツはメチル水銀含有量が低いとして除外した。 
新基準なら許容量3分の1 魚のメチル水銀で試算公表 妊婦が食べても大丈夫なメバチマグロの量は新しい国際基準では1週間に約86グラムと国内基準の約3分の1−。食品に含まれる微量のメチル水銀が胎児に悪影響を与えると指摘されている問題で厚生労働省は17日、魚介類に関する1週間の耐容摂取量の試算結果を薬事・食品衛生審議会専門部会で明らかにした。この問題で国際専門家会議が昨年、メチル水銀の耐容摂取量の基準を引き下げたため厚労省は国内基準を再検討中。試算結果について同省は「具体的検討に入る際の基礎データ。多くの仮定に基づいており、精査する必要がある」としている。 耐容摂取量は胎児への影響と水産庁がまとめた魚種別のメチル水銀濃度を基に計算。魚以外の食品からもメチル水銀を摂取すると仮定した。(共同通信) [8月17日19時35分更新]
胎児期に高用量の水銀に暴露すると神経伝達速度が遅くなる  (CH3)2Hg 2004-02-11 10:29:13 水銀摂取量が多いフェロー諸島において、胎児期に高用量のメチル水銀の暴露をうけた児童878人を対象にした14年間の調査から「大量のメチル水銀の暴露をうけると、その悪影響は持続し、神経の伝達速度を遅くする」とわかりました。 20042月のJ Pediatr誌に発表された研究成果です。 この研究が開始された当時フェロー諸島の胎児の水銀暴露量はアメリカの5-10倍もありました。
PCBMeHgが投与された母親から生まれたラットは運動能力が劣っている 2004-03-15 06:56:32 魚を食べることで体内に蓄積する危険のある毒素・olychlorinated biphenyl(PCB)methylmercury(MeHg)を同時に妊娠中のメスラットに与えると、生まれてきた子供の運動能力が低下するという結果となりました。20042月のToxicol Sci誌に発表された研究成果です。生後2ヶ月時点で回転するロープを上らせてみたところ、PCBMeHgを投与したメスから生まれたラットは何度も足を滑らせました。
Pb 胎児期に高用量の鉛の暴露をうけた人は統合失調症になりやすい  Pb 2004-02-22 17:47:52 鉛がガソリンに普通に使用されていた時代・1959-1966年にカリフォルニア州オークランドで生まれた子供12,000人の転帰と出生時の母親の胎内の鉛の濃度の相関を調べたところ「鉛濃度が高い中で胎児期を送った人は後に統合失調症に2倍なりやすい」という結果となりました。
安全レベルのカドミウムで末梢動脈疾患リスク上昇 〔米テキサス州ダラス〕 ジョンズホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学部(メリーランド州ボルティモア)疫学科のEliseo Guallar助教授らは,カドミウム(Cd)の血中濃度が高いと末梢動脈疾患(PAD)のリスクが上昇する可能性があると,Circulation(2004; 109: 3196-3201)に発表した。2 種類の金属の血中濃度が安全と考えられている現在のレベルであっても,このリスクは上昇すると警告している。
は白内障を引き起こす 2004-12-09 16:06:10 低用量のへの暴露は様々な加齢性慢性疾患のリスクを上昇させます。60歳以上の男性795人を1991年から1999年にかけて追跡調査したところ、の暴露量と白内障に関連があるという結果となりました。2004128日のJAMA誌に発表された研究成果です。この結果から、をなるべく摂取しないようにすれば白内障をある程度予防できると考えられました。
米国エネルギー省の研究所、頭蓋骨のX線分析でベートーベンの中毒を確認 米国エネルギー省の国立アルゴンヌ研究所(イリノイ州アルゴンヌ)は12月6日、作曲家ベートーベンの頭蓋骨について、X線蛍光分析を行い、多量のを検出したと発表した。米Pfeiffer Treatment Centerの主任研究者でベートーベン研究プロジェクト長のBill Walsh氏は、ベートーベンが鉛中毒で苦しんだことを示す確固たるエビデンスを得た」としている。これまでの別の研究で、ベートーベンの髪の毛を分析した結果、中毒の可能性が示されていたが、それを確認する結果となった。Walsh氏らは、ベートーベンの頭頂骨と、その対照サンプルとして同時代に生きた人の頭頂骨について、アルゴンヌ研究所の第3世代大型放射光施設であるAPSAdvanced Photon Source)を利用して、西半球で最も高い鮮鋭度が得られる”X線による分析を行った 注1)。その結果、ベートーベンの骨からは対照サンプルに比べ、多量のが確認できた。ベートーベンの腹部症状や検死の結果は、中毒の所見に合致している。一方で、中毒は聴覚消失の原因として報告はあるものの比較的まれであることから、中毒がベートーベンの聴覚消失の原因かどうかは不明という。が頭蓋骨に見つかったことから、研究者らは、ベートーベンのへの暴露は長年にわたるものとみなしている。なお今回の分析では、カドミウム水銀は検出されなかった。アルゴンヌ研究所のプレスリリースは (http://www.anl.gov/Media_Center/News/2005/news051206.html)まで。(當麻 あづさ、医療ジャーナリスト)
血中の濃度が少し高いだけでも理由を問わない死亡や心血管疾患による死亡のリスクが上昇する  2006-09-22 これまでの研究から、血中の濃度が10μg/dLを超えている成人は心血管疾患、癌、死亡のリスクが高いことが分かっています。1988年から1994年にThird National Health and Nutrition Examination Surveyにリクルートされた成人13,94612年間の追跡調査の結果から、血中の濃度が少し高いだけでも理由を問わない死亡や心血管疾患による死亡のリスクが上昇すると分かりました。この調査での血中の平均濃度は2.58 μg/dLでした。解析の結果、血中の濃度が1.94μg/dL未満の人に比べて、3.62μg/dL以上の人は理由を問わない死亡や心血管疾患による死亡のリスクがそれぞれ25%55%高いと分かりました。脳梗塞や脳卒中による死亡と血中濃度は有意に相関し、その相関は2μg/dL以上で明白となっていました。1999-2002年に、アメリカ成人38%の血中レベルは2μg/dLを超えていました。したがって、今回明らかになった知見は公衆衛生において重大な意味を持っています。
への長期曝露で認知機能が低下 米ミネソタ州セントポール〕 ジョンズホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学部(メリーランド州ボルティモア)職業・環境保健学のBrian Schwartz博士らは,1980年以前に高濃度のに長期曝露した高齢者で認知機能低下が認められたことを米国神経学会(AAN)のNeurology2006; オンライン版)に発表した。  26年の加齢に相当  研究責任者のSchwartz博士らは,さまざまな商品に鉛が使用されていた1980年以前における鉛の地域での曝露を測定するため,ボルティモア市内全域から5070歳の成人985例を対象としてランダムに抽出し,認知機能の低下との関連性を検証した。被曝量は鉛が蓄積しやすい脛骨の濃度で測定され,認知機能は20種の認知能テストによる言語能力,処理速度,手指・視覚協調運動,実行能力,言語記憶力,視覚記憶力が測定された。その結果,脛骨中の鉛濃度と認知機能との間には,有意の相関関係が認められた。 同博士は「一連の分析により,地域での鉛曝露は 2 年から 6 年の加齢に相当することがわかった。認知機能との相関関係は,高齢者向けの予防と治療における新たな選択肢につながる」と述べている。 さらに,脛骨中の鉛濃度は,白人に比べてアフリカ系米国人で大幅に高いことがわかったが,この要因には生活環境の違いだけでなく,骨密度の違いも挙げられると考えられる。Medical Tribune [2006112 (VOL.39 NO.44) p.48] 
中毒では頭蓋内圧が上昇して脳ヘルニアが発現する場合がある 2006-12-06 ハートの形をした装飾品を飲み込んで中毒で死亡した4歳の男児の症例報告が医学誌に発表されています。この小児は、ウイルス性胃腸炎によって引き起こされたと考えられる吐き気、微熱、脱水を呈して病院に入院しました。その後12時間で小児の容態は急速に悪化し、脳ヘルニアを起こして脳死に至りました。男児の体内からは、アメリカのCenters of Disease Control and Preventionが危険とするレベルよりも18倍高いレベルのが検出されました。X線検査でお腹に装飾品があることが確認されましたが、その時には男児の命を救えるタイムリミットは過ぎていました。この症例から、中毒で頭蓋内圧が上昇する可能性があることを認識しておく必要があると考えられました。その他、嘔吐、発育遅延、難聴、行動問題、発作、貧血等の症状が認められたときには、医師は中毒を疑う必要があります。
亜鉛アエン 骨に亜鉛を多く含む妊婦は高血圧になりやすい   Zn 002-12-30 00:00:00 およそ妊婦1000人を対象にした疫学調査から「骨に亜鉛を多く含む妊婦は高血圧になりやすい」とわかりました。この結果がCharles R. Drew Universityの研究者等によって200212月のAm J Epidemiol誌に発表されました。
亜鉛は乳幼児の肺炎早期回復効果がある 2004-05-22 05:50:02 生後2-23ヶ月の幼児270人を対象にしたプラセボ対照試験で「通常の抗生物質に亜鉛(20mg/)を併用すると、抗生物質だけの場合に比べて1日早く重症肺炎から回復できる」という結果となりました。2004522日のLancet誌に発表された研究成果です。 また、亜鉛を併用した方が抗生物質だけの場合より1日早く退院できるという結果となりました。‥> News Source Zinc 'boosts pneumonia recovery' / BBC  > Reference Zinc for severe pneumonia in very young children: double-blind placebo-controlled trial. Lancet 2004; 363: 1683-88
妊婦の亜鉛サプリメント服用は胎児の骨の成長を促進する 2004-07-05 17:35:36 妊婦242人を対象にした試験から、妊娠中に亜鉛のサプリメントを服用すると胎児の骨の成長が改善するとわかりました。 20045月のAmerican Journal of Clinical Nutrition誌に発表された研究成果です。 242人は妊娠10-16週時点で、鉄・葉酸・亜鉛サプリメントまたは鉄・葉酸サプリメントだけを服用する群にわかれました。妊娠202428323638週時点で調査したところ、亜鉛を含むサプリメントを服用していた女性の胎児では大腿骨の骨幹の長さがより長くなっていました。また、妊娠期間が長くなるにつれて亜鉛非服用群と亜鉛服用群での骨幹の差は開いていきました。 > Reference Merialdi M et al (2004) Randomized controlled trial of prenatal zinc supplementation and fetal bone growth Am J Clin Nutr 79 (5) 826-830
亜鉛は乳幼児の肺炎早期回復効果がある 2004-05-22 05:50:02 生後2-23ヶ月の幼児270人を対象にしたプラセボ対照試験で「通常の抗生物質に亜鉛(20mg/)を併用すると、抗生物質だけの場合に比べて1日早く重症肺炎から回復できる」という結果となりました。2004522日のLancet誌に発表された研究成果です。 また、亜鉛を併用した方が抗生物質だけの場合より1日早く退院できるという結果となりました。‥> News Source Zinc 'boosts pneumonia recovery' / BBC > Reference Zinc for severe pneumonia in very young children: double-blind placebo-controlled trial. Lancet 2004; 363: 1683-88
亜鉛は十代の子どもの脳をシャープにする [2005/04/19] 十代の子どもに亜鉛を飲ませる実験したら、注意力、記憶力など子どもの頭の働きがアップすることがわかった。発表したのは米農務省の農業研究所(Agricultural Research Service )のジェームズ・ペンランド博士で、4月4日開かれた「米栄養科学会」で報告した。博士らは、7年生(中1)の子ども209人を3グループに分け、第1のグループには、毎日亜鉛を20mg添加した果物ジュースを飲ませた。第2のグループには、亜鉛を10mg添加したジュースを飲ませ、第3のグループには亜鉛を全く添加しないジュースを飲ませた。 ジュースを飲み始める前と、飲んで12週間経過した時点で、子どもたちに注意力、記憶力、問題解決力、手と目の協調など頭脳の働きを試すテストを行った。 テストの結果、毎日20mgの亜鉛を飲んだ子どもは、亜鉛を飲まなかった子どもと比べて、視覚による記憶力、言葉の認識、注意力、危険を回避する速さ、などの面で、断然勝っていたという。
亜鉛には、血中のHIVレベルを亢進させる作用はない 2005-11-30 00:00:00 亜鉛不足は、免疫機能を低下させて感染のリスクを増大させます。資源不足の国において、亜鉛の補充は小児の下痢や肺炎の発現を減らすことが確認されています。しかしながら、HIV感染症に対する亜鉛の補充が安全かどうかは不明です。というのも、HIVはその構造と機能に亜鉛を必要とし、HIV-1の増幅に必要なリンパ球を亜鉛は活性化するからです。 HIV-1感染小児96人を対象にした南アフリカでのプラセボ対照試験の結果、亜鉛を毎日10mg投与すると、血中のHIVレベルを上昇させることなく下痢の発現を減らすことができるとわかりました。受診時に認められた水様性の下痢の割合は亜鉛補充群で7.4%、プラセボ群で14.5%でした(p=0.001)。この結果から、HIV-1感染が高率に認められる地域でも、HIV-1増殖に対する有害な影響を危惧することなく亜鉛摂取を促進するプログラムを推進すべきと考えられました。 
亜鉛免疫系に関与 細胞活性化で濃度減少----阪大大学院教授ら解明 免疫細胞がウイルスなどの抗原から刺激を受けて活性化すると、細胞内の亜鉛濃度が減少することを、平野俊夫・大阪大大学院教授(免疫学)と理化学研究所のグループが発見した。亜鉛は人間に不可欠な微量元素で、体内のさまざまな物質に結合して構造を保っているが、免疫系へのかかわりは知られていなかった。7日付の米科学誌「ネイチャー・イムノロジー」電子版に掲載された。平野教授らは免疫細胞の一つで、抗原が侵入したことをリンパ球の一種であるT細胞に伝える役目を持つ「樹状細胞」に着目。マウスの樹状細胞の通常状態と活性化状態で亜鉛濃度を比較した。すると、活性化状態では、細胞内へ亜鉛を取り込むたんぱく質が減った上、排出するたんぱく質が増えて、亜鉛濃度が減少した。平野教授は「単なる栄養素と考えられていた亜鉛が、外界からのシグナルを細胞内に伝える重要な役割をしていることが明らかになった」と話している。【野田武】
妊娠中にビタミンE亜鉛の摂取量が少なかった母親の子供は喘息になりやすい  2006-09-04 妊娠中の女性のビタミンE摂取量低下とその子供の2歳時点での喘鳴が関連することが報告されています。今回同じ研究者等が、同じ小児を5歳まで追跡調査した結果を医学誌に発表しました。5歳時点での解析の結果、前年の喘鳴、喘息の既往、前年の喘鳴と喘息、持続性の喘鳴が妊娠中のビタミンE摂取量と負に相関しました。また、喘息の既往、活動性喘息と妊娠中の亜鉛の摂取量も負に相関しました。この結果から、妊娠中の母親のビタミンE亜鉛を含む食物摂取は小児の喘鳴や喘息のリスクの差に関連すると分かりました。200691日のAmerican Journal of Respiratory and Critical Care Medicine誌に発表された研究成果です
ドウ 血管新生に必要な銅をターゲットにした癌治療 2004-02-20 00:39:53 銅は血管新生に必要であることを示す実験結果が報告されています。tetrathiomolybdateは銅の作用を防ぐ薬剤で、癌の血管新生阻害剤として期待されています。癌治療におけるtetrathiomolybdateの使用方法・有効性・安全性に関するレビューが200212月のIntegr Cancer Ther誌に発表されています。
と脂肪の多い食事が認知力低下を促進 銅、亜鉛、鉄は脳の発達と機能にとって重要だが、これらの金属の不均衡は、脳内でアルツハイマー病に関与するプラーク発生の一因となる可能性があるという。また、飽和脂肪とトランス脂肪の摂取はアルツハイマー病やその他の認知障害と関連があるとされており、動物実験では高脂肪食による脳の変性をが促進することが示唆されていた。そこで、ラッシュ大学の研究班は、65歳以上のシカゴ住民3,718名を調査し、食事からの飽和およびトランス脂肪の摂取量、の摂取量と、認知力との間の関連性を分析した。その結果、脂肪摂取量が最も多かった604名では、の摂取量が多いほど認知力の減退が速かった。摂取量にして上位20%の人々と下位20%の人々の認知力の差は、加齢19年分に相当したという。の含有量が高い食品には、レバーなど内臓肉と貝類がある。研究班は、このような関連性の公衆保健上の意義を見極めるには、さらに研究が必要だと述べている。
血管新生中の細胞ではの分布が劇的に変動する 2007-03-02 - 血管新生中の細胞では、銅の分布が劇的に変動すると分かりました。Biotoday
はアルツハイマー病の認知機能低下に有効かもしれない 2005-10-09 00:00:00 動物実験やアルツハイマー病(AD)患者の死後脳の研究から、レベルの低下とアルツハイマー病の関連が示唆されています。軽度〜中等度のAD患者32人を対象にした試験の結果、血中のレベルの低下とAD患者の認知機能低下に相関が認められました。全ての患者の血中レベルは生理範囲(65mug/dL165mug/dL)でしたが、87.5%の患者で血漿中レベルとADAS-cogに逆相関が認められました。Saarland University Medical Centerでは、がアルツハイマー病患者の認知機能に効果があるかどうかを調べる第2相試験が実施されています。 Cognitive decline correlates with low plasma concentrations of copper in patients with mild to moderate Alzheimer's disease. J Alzheimers Dis. 2005 Sep;8(1):23-7.
鉄分テツブン 鉄分が糖尿病のリスクに関連 2つのグループは以前看護婦保健研究に参加し1989年から1990年の間に血液サンプルを寄付した女性32,826人から選ばれた。被験者達は研究の始め(ベースライン)において糖尿病や心臓血管病やがんを病んでいなかった。医師達はベースラインにおいて、女性糖尿病患者の平均フェリチン(鉄貯蔵タンパク質複合体)濃度が健康なコントロール群より極めて高く(109 ng/mL対71.ng/mL )女性糖尿病患者のフェリチンに対するトランスフェリン受容体(鉄のトランスポータ)の平均比率がコントロール群に比べて極めて低いこと(102対141)を発見した。
欠乏による認知機能低下は鉄分補給により改善できる  18-35歳の女性113人を対象にした試験から「鉄欠乏症の女性は注意、記憶、学習機能といった認知機能が低下するが、そのような認知機能は鉄分補給により改善できる」とわかりました。 Experimental Biology2004年年次総会で発表された研究成果です。欠乏は脳のセロトニンドパミンといった神経伝達物質に悪影響を及ぼすと考えられています。
分が不足しても多すぎてもパーキンソン病になる 2004-10-14 20:41:28 分の摂取量が多すぎたり少なすぎたりするとパーキンソン病になるリスクが高くなると考えられました。 2004102日のExperimental Neurology誌オンラインバージョンに発表された研究成果です。 分摂取を制限したマウスはパーキンソン病を引き起こすMPTPという物質を投与してもドパミンレベルの低下や運動障害はおきませんでした。しかしながら、分を制限したマウスでは、p53を介した神経細胞死が原因と想定されるドパミンレベルの低下が認められ、運動障害も生じました。 
カドミウム カドミウムを精巣に運んで組織破壊を引き起こす遺伝子 2005-02-17 16:15:49 カドミウムはタバコ、土壌、植物、魚介類等を介して体内に入り、胎児奇形、肺がん、精巣癌、神経・肺・腎障害などの重金属中毒を引き起こすと考えられています。 University of Cincinnatiの研究者等によって、Slc39a8という遺伝子がカドミウムの精巣への輸送に関与していることが解明されました。マウスの実験からSlc39a8カドミウムを精巣に輸送するとそこで組織破壊がおきることが確認されています。研究成果は200531日のPNAS誌に発表される予定です。Slc39a8は低濃度の場合にはカドミウムを精巣に運びますが、高用量では精巣以外の部分にカドミウムを運んでいくと考えられました。研究者等はカドミウム以外の重金属の輸送にもSlc39a8が関与していると考えています。Slc39a8をターゲットにした重金属中毒の治療法が開発されていくでしょう。
カドミウム:福井県産米から基準値超える量を検出 農水省は13日、福井県越前市で生産された米から、食品衛生法の食用の基準(1ppm未満)を超える1.2ppmのカドミウムが検出されたと発表した。国の調査で基準値を上回る結果が出たのは3年ぶり。汚染米1.2トンは市場に流通しておらず、すべて焼却処分される。毎日新聞 20051014日 東京朝刊
環境中のカドミウム曝露により癌のリスクが増大する−研究論文 ニューヨーク(ロイター)−一般住民を対象とした試験の結果から、金属カドミウムへの環境中の曝露により癌、特に肺癌のリスクが有意に増大することが示唆されている。 「これらの所見により、非鉄溶鉱炉からの継続的な汚染または過去の汚染が重大な健康被害を引き起こし続け、予防策の設定が必要であることが示唆されている」と研究者達がThe Lancet Oncology誌の115日オンライン早版中に結論付けている。 カドミウムは環境中に広く存在する汚染物質であり、半減期が遅いためにヒトの体内に経時的に蓄積する。その曝露は、汚染食物、汚染水またはタバコ煙や汚染された空気の吸入を通じて生じる。 University of Leuven(ベルギー)のJan A. Staessen博士らは、カドミウムへの曝露と癌との関係をカドミウム高曝露群であるベルギー北東部の亜鉛溶鉱炉の付近に住む住民521名の無作為化サンプル中およびカドミウム低曝露群である住民473名の対照住民中において評価した。 1985年〜1989年のベースライン期間中に、一生涯の曝露量の信頼できるバイオマーカーである尿中の平均カドミウム濃度は、高曝露群で12.3 nmol/日であり、これに対して対照群では7.7 nmol/日であり、有意な差が認められた(p値<0.0001)。 中央値17.2ヵ月の追跡調査期間中に癌症例70例が生じ、そのうち肺癌は19例であった。 Staessen博士らによれば、全癌リスクは24時間カドミウム排泄量の2倍と有意に相関し、ハザード比は1.31であった。 肺癌に対して補正したハザード比は、24時間の尿中カドミウム排泄量の2倍に対し1.70、高曝露地域の住民に対し4.17、さらに土壌中のカドミウム濃度の2倍に対し1.57であったことも同博士らは報告している。
尿中カドミウムレベルが高い女性は乳癌になりやすい 2006-06-26 20-69歳の乳癌女性246人と年齢をマッチさせたコントロール254人を対象とした症例対照研究において、尿中のカドミウムレベルが四分位中最上位のグループの乳癌リスクは最下位のグループに比べて2.29倍高いという結果となりました。この結果から、カドミウムレベルの上昇が乳癌の原因因子なのか治療効果を反映しているのかどうかを調べていく必要があります。この調査結果は2006621日のJournal of the National Cancer Institute誌に発表されています
カドミウム被曝で癌リスク増大 〔ニューヨーク〕 ルーベン大学(ベルギー・ルーベン)のJan A. Staessen博士らは,住民対象研究により環境中の金属カドミウムへの曝露が癌,特に肺癌リスクを有意に増大させる可能性があることをLancet Oncology2006; 7: 119-126)に発表した。
セレン セレンは、前立腺がんを予防する、血中濃度が高いとリスクが半減−−米ハーバード・メディカルスクールが解明 抗酸化ミネラルとして知られるセレンを、食事などから十分にとれている人は、前立腺がんになる危険性が低い−−。米ハーバード・メディカルスクールの研究者らによる研究結果が、米国立がん学会誌5月5日号に掲載された。 Physicians' Health Studyに参加した健康な男性のうち、この間に前立腺がんになった586人と、ならなかった577人について、追跡開始時の血中セレン濃度と前立腺がんになるリスクの関係を調べた。追跡期間は、1982年から13年間。 その結果、血中セレン濃度別に5グループに分けてみると、セレン濃度が最も高かったグループは、最も低かったグループに比べて、前立腺がんになるリスクが48%低かった。 この傾向は、199010月から前立腺がんの精密スクリーニング法であるPSA(前立腺特異抗原)検査が行われるようになって前立腺がんの見落としが減った以降でも、それ以前と変わらなかったという。
微量元素セレニウム(selenium)はガンを予防する 2002-09-25 00:00:00 「木の実、野菜、穀物などに多く含まれる微量元素は癌抑制タンパク質・p53の活性を増加させて癌化を抑制する」という実験結果がインディアナポリスにあるインディアナ大学の研究者(Martin L. Smith)によってPNAS誌の速報として発表されました。実験結果から、セレニウムによるp53タンパク質の活性化にはRef1タンパク質の協力が必須であることも明らかとなりました。
体内のセレニウム値が少ないと膝骨関節症リスクが増、足の爪の測定で明らかに 体内のセレニウム値が低いと、膝骨関節症リスクが増えることが、900人超の足の爪を調べ、明らかになった。米North Carolina大学のJoanne M. Jordan氏が、1115日に開催された米国リウマチ学会のACR Concurrent Abstract Sessionで発表した。西洋諸国でセレニウムと骨関節症の関連について調べた疫学試験は、これが初めてという。なお、中国での、セレニウムの極度な欠乏とカシンベック病発症との関連は、これまでに発表されている。 Jordan氏らは、白人と黒人合わせて940人について、調査を行った。被験者の平均年齢は59.8歳、うち男性は33%だった。同氏らは、被験者の足の爪を採取し、機器中性子放射化分析(INAA: Instrumental Neutron Activation Analysis)でセレニウム値を測定した。なお、足の爪は比較的ゆっくりと成長するため、長期の体内セレニウム値を反映するという。 また、被験者の膝X線撮影を行い、Kellgren-LawrenceK-L)グレードで2〜4の人を、膝骨関節症と定義した。なお、交絡因子として考えられる、年齢、性別、人種、BMI(肥満指数)については補正を行った。 その結果、セレニウム値が0.1ppm増す毎に、片足の膝骨関節症、両足の膝骨関節症、K-Lグレードで3以上の重度膝骨関節症のオッズ比は、それぞれおよそ1520%減少した。具体的には、セレニウム値の毎0.1ppm増に対するオッズ比は、片足膝骨関節症が0.8595%信頼区間:0.721.00)、両足の膝骨関節症が0.79(同:0.650.96)、重度膝骨関節症が0.82(同:0.690.98)だった。 また、セレニウム値の上位3分の1のグループの、下位3分の1のグループに対するオッズ比は、片足膝骨関節症が0.6295%信頼区間:0.371.02)、両足膝骨関節症は0.54(同:0.310.97)、重度膝骨関節症は0.56(同:0.340.94)だった。 なお、こうした傾向は、特に女性と黒人で顕著だったという。 Jordan氏は、今後の研究課題として、「セレニウムのサプリメントを適量摂取することが、骨関節症の予防や進行を遅らせる効果があるかどうかを見極めることだ」としている。(Andrew G. Ten Have、當麻 あづさ、医療ジャーナリスト)
セレンのサプリメントはHIVレベルの低下に役立つ 2007-01-26 HIV感染成人262人を対象にした試験の結果、セレン(セレニウム)HIVレベルを低下させると示唆されました。262人はセレンが豊富なNutrition 21社の酵母サプリメント・Selenomaxとプラセボ投与群に振り分けられ、9ヵ月後のHIV-1レベルやCD4細胞数が評価されました。生物的に利用可能な有機セレンを高濃度含んでいることからこの試験ではSelenomaxが採用されました。9ヵ月後、プラセボ治療群ではウイルス量は1万〜2万コピー/mL増加しましたが、Selenomax服用群ではHIV量は変化せず、CD4細胞数が増加しました。50人は、平均よりも有意に血中セレンレベルが上昇しました。これらの患者においてはHIV量が平均1万コピー/mL減少しました。
マグネシウム マグネシウムを豊富に摂取している女性は結腸直腸癌になりにくい 005-02-22 18:11:20 スウェーデンの40-75歳の女性61,433(The Swedish Mammography Cohort)のデータを解析したところ、マグネシウムの摂取量に反比例して結腸直腸癌に罹り難くなると分かりました。200515日のJAMA誌に発表された研究成果です。マグネシウム摂取量が5分位で最低レベルの女性に比べて、摂取量が最高レベルの女性は結腸直腸癌に41%なりにくいという結果となっています。
マグネシウム2型糖尿病のリスクを低下させる 2007-07-12 - メタ解析の結果、マグネシウムは2型糖尿病のリスクを低下させると示唆されました。Biotoday
カルシウム 毛髪の金属元素濃度でがん発見 兵庫などで実用化研究 毛髪中のカルシウムなど金属元素の濃度が、乳がんや肝臓がんの患者で異常な値になっていることが、兵庫県立先端科学技術支援センターや京都薬科大、千葉大などの研究で示された。今後、数千人規模で他の病気との関連も調べて、髪の毛を使った簡易検査法の確立を目指すという。 同センターなどのチームは毛髪に含まれる金属元素の濃度と、病気との間に関係があるかどうかを調べた。特殊な光で微量な元素を分析できる、大型放射光施設「スプリング8」で測定した。 毛髪は1カ月で平均1センチ伸びるため、12センチほどあれば、1年分の変化を分析できる。乳がん患者17人では、がん発見より8〜12カ月前からカルシウムの濃度が、通常の5〜10倍も高い値を示し、その後はゆっくり正常値に近づいていた。カルシウムの代謝が乱れることが原因らしい。 肝臓がん患者11人ではカリウム濃度が、健康な人に比べ10分の1以下だった。健康な人で見つからない、食物からのゲルマニウムも検出された。 今後、検査法を充実させるための会社を立ち上げ、アルツハイマー病、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、糖尿病などと、毛髪中の元素濃度との関係も調べる予定だ。千川純一・同センター所長は「この手法で異常が見つかった人が詳しい検査を受けるようにすれば、毛髪をさまざまな病気を見つける手がかりにできる可能性がある」と話す。 (Asahi.com)
カルシウム12000mgを超えて摂取している男性は前立腺癌に2倍なりやすい 2005-11-17 00:00:00 Alpha-Tocopherol, Beta-Carotene Cancer Prevention (ATBC) 試験のデータを解析したところ、カルシウム12000mgを超えて摂取している男性は前立腺癌に2倍なりやすいという結果となりました。 解析の結果、乳製品全体の摂取量と前立腺癌に関連は認められず、カルシウムと前立腺癌に明白な相関が認められました。 しかしながら、個々の乳製品と前立腺癌との関連を調べたところ、乳脂と前立腺癌に有意な相関が認められました。その他の乳製品と前立腺癌に関連は認められませんでした。 この解析結果はAmerican Association for Cancer Researchの年次cancer prevention meetingで発表されました。 > News Source + Too much calcium may raise prostate cancer risk / NutraIngredients
As 茨城・旧神栖町のヒ素汚染:井戸水飲用中止後も、脳の活動量低下−−筑波大調査 茨城県神栖市(旧神栖町)の井戸水が高濃度の有機ヒ素化合物「ジフェニルアルシン酸」に汚染され、周辺住民に健康被害が出た問題で、03年に井戸水の飲用を中止した後も、脳の血流や代謝活動の低下などが続く住民がいることが筑波大の石井一弘講師(神経内科)らの調査で分かった。住民には自覚症状がないことも多いという。有機ヒ素中毒の長期的な影響を示す研究で、東京都内で開催中の日本神経学会で11日午後報告する。 健康被害を受けたとして国から医療手帳を交付された住民145人を調査対象に、定期的な健康診査に合わせて脳の血流量や活動を調べた。 その結果、自覚症状がなく、ヒ素汚染が少ないとみられていた人でも、小脳や海馬(かいば)など脳の一部の血流量が通常の半分近くに減っているケースがあることが分かった。 脳の活動状況を調べる糖代謝量を測定したところ、自覚症状がないのに、脳幹や小脳などで代謝量が低下したままの人がいることも判明した。また、飲用中止後も風呂や洗面に井戸水を使っていた人では、尿やつめから検出されるジフェニルアルシン酸濃度が、完全に使用をやめた人より3〜6倍高かった。 飲用をやめれば数週間で消えるとみられていた、ふらつきや手の震え、不眠などの症状がいまだに続く人もいた。 石井講師は「症状や脳の活動の低下は個人差も大きく、追跡調査が必要だ」と説明している。【山田大輔】
数十年後の癌死に関連するヒ素暴露 チリにおける研究結果から、ヒ素暴露はその後20年以上肺癌および膀胱癌が原因の死亡率に最も強く影響する、と示唆されている。 Journal of the National Cancer Institute 誌の620日号に掲載された報告によると、1958年の研究開始からヒ素の平均水中濃度の著明な上昇がチリの地域Uで認められたが、1970年代に水処理設備が設置されたためヒ素の平均水中濃度は急低下した。 現行の研究の主眼は、ヒ素に関連した悪性腫瘍、すなわち肺癌および膀胱癌の発生率が飲料水のヒ素汚染がない地域Xに比べて地域Uで1950年〜2000年にかけてどのよう変化したかを確認することであった。被験者500,000名を超える死亡率のデータが本解析に含まれていた。地域Uにおける肺癌および膀胱癌の死亡率は、高度のヒ素暴露開始後約10年上昇し始めた、と筆頭著者であり、University of California(バークリー)に勤務するDr. Allan H. Smithらが述べている。一方、ヒ素濃度は1970年代に劇的に低下したにもかかわらず肺癌および膀胱癌の死亡率は1986年〜1997年にピークを迎えた。 地域Uにおける肺癌および膀胱癌を組み合わせた死亡率の最高値は、1992年〜1994年にかけて現れ、それぞれ男女100,000名あたり153名および50名であった。これに比べ、地域Xにおける上記の期間中に相当する死亡率は、男女100,000名あたり54名および19名であった。 本研究により「ヒ素を肺癌および膀胱癌に関連するさらなるエビデンスがもたらされ、恐らくいっそう重要である一時的なヒ素の影響パターンへの洞察がもたらされている」と論説委員であり、National Cancer Institute(メリーランド州ロックビル)に勤務するDr. Jay H. Lubinらが述べている。 「多くの者が10マイクログラム/リットルを超える飲料水中のヒ素に暴露した可能性があるにもかかわらず、飲料水中のヒ素の公衆衛生上の完全な因果関係は未だ明らかになっていない」。 J Natl Cancer Inst 2007;99:906-907,920-928.
リン 血清リン値が高いと心血管リスク上昇 慢性腎疾患CKD)や心血管疾患CVD)の既往がない人を対象に、血清リンと心血管リスクの関係を調べたところ、血清リン値の上昇に伴って心血管リスクも上昇することが明らかになった。米国立心肺血液研究所Framingham Heart StudyグループのRavi Dhingra氏らの報告で、詳細は、Arch Intern Med2007514日号に掲載された。 日経Medical Online
クロム 六価クロムを含む水を飲むと癌が発現する ジュリア・ロバーツが主演の映画「エリン・ブロコビッチ(Erin Brockovich)」でも焦点となった六価クロムchromium 6)を含む水を飲むと癌が発現することが動物実験で確認されました。 Biotoday
ナマリ 中毒の原因が塗料からおもちゃに 〔米オハイオ州クリーブランド〕かつて米国の中毒の原因は,標準以下の住宅に住み,住宅の壁からはがれ落ちた鉛塗料の剥離片を口に入れた乳幼児というのが一般的だった。しかし,今では鉛で汚染された輸入おもちゃや輸入本などが小児の中毒の原因として,あらゆる社会階層に懸念が広まっている。親に判断のアドバイス  報告によると,輸出元である中国当局は,この問題の一掃に乗り出したようだが,心配する親が多いことは間違いない。こうした親にアドバイスするグループの 1 つであるセントラルオハイオ毒物センターの医学部長でコロンバス小児病院薬理学/中毒学部長でもあるオハイオ州立大学(オハイオ州コロンバス)のMarcel Casavant教授は「で汚染されたものを口に入れたり,何度もなめたことがある小児は血中濃度の検査が必要だ」とアドバイスしている。 さらに同教授は,小児の中毒リスクが高いか否か判断するために,親に(1)小児が住んでいる家,または頻繁に訪ねる家は1950年代以前に建てられたか。あるいは塗料がはげていないか(2)小児が鉛中毒の人,鉛と接触する職業に就いている人と常に接触していないか(3)小児が鉛塗料を使用しているために回収されたおもちゃなどに触れたことはないか―の自問をするよう勧めている。 同教授は「中毒で心配なのは,たとえ小児に明らかな症状が出ていなくても,は小児の脳に障害を与えるからである」と述べている。Medical Tribune [20071011 (VOL.40 NO.41) p.05] 主な有害ミネラルと代表的な含有物質
ナマリ 0.3mg/L 知能低下、特に小児の場合ほど影響が大きく、疲労感や筋肉弛緩、胃腸障害、抹消神経障害などの慢性中毒症を引き起こす。 魚介類(特に、本マグロ、マカジキ、キンメダイ) 水銀
ナマリ 0.5mg/L 神経障害・消化管障害・疲労感・不眠・頭痛・関節痛・便秘 水道水
ナマリ 1.0mg/L 脳炎・痴呆・腎臓障害 防腐製品、井戸水 砒素
チョコレート アルミニウム
タバコ カドミウム
ナッツ類、臓物、きのこ類
タバコ ニッケル